きものを着こなす

樹木希林さんの きものに学ぶ、自分もモノも生かしきる生き方

こんにちは。上杉惠理子です。

2019年10月15日、西武池袋で開催されていた、こちらの企画展 最終日に行ってきました。

樹木希林 遊びをせんとや 生まれけむ展

樹木希林さんのものすごくファンで、全作品を追いかけてきた…という熱烈ファンって希林さんに少ない気がする。


私自身もすごくファンというわけじゃなかったけれど、『東京タワー』『日日是好日』など樹木希林さんが出ている映画なら、きっとおもしろい、というなんか安心感があった。

フジカラーもゼクシーも希林さんが出ている、そのCMが好きだった。

2018年9月に75歳で亡くなって早一年。

だけど書店に行けば、いつも希林さんの本が並び、特集番組も放送されたり、希林さんが出ていた映画が話題になったり。

本当に大きな存在だったと思うし、亡くなってからの方が身近に感じています。

そんな樹木希林さんの企画展に行ってきました。

自分を生き切る、ということ

樹木希林 遊びをせんとや 生まれけむ展は、希林さんが出演された映画、CM、インタビューでの言葉、まとっていた衣装、ご自身が書かれた手紙、愛用されたモノやお部屋のお写真などなど、ぎゅっと詰まっていました。

希林さんになんでこんなに、惹かれるんだろう?

ずっと考えていたことが、この展覧会を見るうちにひとつ答えを見つけました。

樹木希林さんは、樹木希林という人を生き切った人だから。

希林さんは何事にも動じず、ひょうひょうとしている印象もありましたが、自分らしさやこだわり全開で生きた方でした。

お仕事で監督に意見を平気で言ったり。
CMの衣装も自分から提案したり。

「全身がん」とぽろっと言っちゃうし。
入れ歯外して映画に出演しちゃうし。

きものは長く大事に
ときにいろいろリメイクしたり
振袖に革靴で授賞式でちゃうし

受賞したトロフィーはお家で、ランプにリメイクしちゃうし笑

旦那さんの内田さんのことが大好きで、その気持ちも隠さないし

希林さんご自身もそういう「自分を使い切る」生き方を、目指されていたんですね。

 古くなった靴下やシャツも掃除道具として利用して、とにかく最後まで使い切ります。ものたちが「十分に役目を果たして終わった」と思えるように始末する感覚で暮らしているのです。形に残る新しいものは滅多に欲しいとは思いません。

皆さん驚かれるのですが、家のテレビなんて、いまだブラウン管ですよ。

人間もそれと同じ。十分生きて、自分を使いきったと思えることが、人間冥利に尽きるってことなんじゃないでしょうか。

2014年文藝春秋での希林さんインタビュー

自分を生き切った人は本当に魅力的で、こんなに人を惹きつけるのだと希林さんの背中から感じるのです。

希林さんみたいに、自分を生き切りたい

私もそう思いました。

希林さんのきものは、ときめきのアイデアがいっぱい!

自分も、モノも使い切る、そんな希林さんの生き方がまさに表れていたのが、希林さんのきものでした。

樹木希林さんは国内・海外の映画祭やご家族のお祝いなどなど、よくきものを着る方でした。

しかも、とても自由にご自身でアレンジをする方。

『東京タワー』の受賞式などで着ていらした赤い帯は

もともと黒地に赤い菊の袋帯を、一枚の布に戻して、半幅帯に作り直したもの。半幅帯にしたことで余った布を、きものの袖の下部分に入れ、さらに伊達衿にも同じ布を使ってトータルコーデにしているんですね♪

本に載っていたこちらの振袖は…

半分はもともとの華やかな柄の振袖。半分は別の黒地のシンプルな生地で
片身替わりの振袖に!残った振袖の布は、帯になっている!!

こうした、二つの異なる柄のきものを、左右でくっつけた片身替わりのきものを何枚か作られていたそうです。

他にもきものを解いて半幅帯にして、残った布地を別のきものの裏地にする。

そうすると、ちらっと見える裏地と帯が同じ布でトータルコーデに!

ほとんど見えない裏地と帯が同じってなんて素敵な!!

なるほどーーー!!おもしろいーーー!!!私もやってみよーーー!!と思うアイデアを希林さんのきものからいくつもいただきました^^ 

希林さんのきものも着付けも教科書どおりじゃない。

振袖に革靴。受賞「式」に半幅帯。衿もともゆるめ。伊達衿も多めに見せる。

だけど、希林さんのゆるさはだらしないとか いい加減 ではなく、本当にいい意味でのゆるみや 自由。

何が違うんだろう。

人を幸せにする ゆるさや自由とそうでないもの。

なんだろう?

何が違うんだろう?

ずっと考えていたんですが展覧会を見て、多分これで間違いないだろうと思ったことがあります。

それが布も物も、使い切るんだという思い。

本の帯もこう書いてあります。「物にも冥利があるじゃない」

希林さんは人の家のタンスでも、きものがしまいこまれてダメになっていくのが耐えられなかったそうで、たくさんのきものや帯をもらっていたそう。

本当にきものの方から、希林さんの元に行きたくて集まって行ったのだなぁと思う。

希林さんの布への、きものへの愛が満ち満ちている。

アレンジすることでご自身の意思がしっかり入るから、借りてきた感もなくものすごくフィット感がある。

希林さんのきもののことは、こちらでも書かせていただきました。

観たよ!『日日是好日』!

あなたは、どう きものと付き合う?

とニヤっとした希林さんに言われているような気がします^^

きものが着たいなら着ればいいものね。

きものに正解なんて本当はないしね。

大事なことは、そこに 私/あなた がいるかどうか。

和創塾
〜きもので魅せる もうひとりの自分〜
上杉 惠理子