こんにちは^^上杉惠理子です。
今日は読者さんからのご質問に、お答えします!
改めまして、着物の収納方法を伺いたいです。
専用の箪笥を置くことができず、広い場所も確保できないときのお勧めの方法と、絶対に気を付けるポイントを改めて伺いたいです
(Aさん/神奈川県在住)
きものの収納についてのご質問は、多くの方からいただいております^^ きものを着始めたら必ず考えますものね。ご質問ありがとうございます!!
この記事ではじっくり、きものの収納について考えていきましょう♪♪
きものの収納方法が難しく思うのはなぜ?
きものはなぜ、収納について、洋服とは違う対応が必要なのでしょうか?
洋服と一緒にコンパクトにくるくるっとまとめて、洋服ダンスに入れたらなんでダメなの??ハンガーにかけっぱなしじゃダメ?
なぜ、きものは洋服の収納とは別でえなければいけないかというと
- たたむ衣服である
- 素材が絹が多い
この2つの特徴があるからです。
順番に見ていきましょう♪
きものは二つ折りでしまえる広さが欲しい!
まず きものの大原則がこちら。
①きものは たたむ衣服である
ということ。
きものは「本だたみ」という、たたみ方があります。 「本だたみ」についてはこちらの動画でお話しています^^
なぜ、本だたみにするかというと、
余計なたたみじわを作らず、次に着るときもアイロンをかけずにすぐに着られるから!!
本だたみはきものを左右対象にぴったり合わせて、縫い目に沿ってたたむこと方法。本だたみにして、二つ折りにして仕舞っておくと、シワにならない。むしろ、上に他のきものを載せておけば、シワを伸ばしてくれます🎵
本だたみは、とっても合理的なたたみ方なのです。
きものを六つ折りなど、小さくたたんで仕舞っておくと、たたみじわができて大変!!着る前にアイロンをかけなければいけません。
また、小さくたたむと、内側で湿気がこもりカビが発生しやすくなる危険もあります。
また、ハンガー等に吊るしっぱなしにすると、一部に重力がかかり仕立てが狂い、形崩れがおきます。
きものは、たたむ文化。
洋服は、吊るす文化。
前提が違うのですね^^
なので、きものは、本だたみにして二つ折り、せめて三つ折りで仕舞っておきたい。
二つ折りなら幅90〜110cm、三つ折りなら 60〜80cmの幅がある収納スペースをつくることがまず大事になるわけです。
絹の特徴に合わせて収納したい!!
次に、
② きものは絹素材が多い
という特徴があります。
お洋服で絹のものをお持ちの方は少ないのではないでしょうか?まずは絹の特徴を知るところから始めましょう🎵
絹はとっても素晴らしい素材です。メリットを上げると…
- 軽いし、丈夫!
- 光沢があって美しい
- 絹同士なら、静電気が起きにくい
- 保湿性も高い
- 絹だけなら虫が付きにくい
きものを着ると絹って素晴らしい素材だなぁとしみじみ感じます^^ ですが、気をつける点もいくつかあります。
- 水分で縮みやすい
- たんぱく質なので、虫が入り込むと餌になる(食べられて穴があいちゃう!)
- 塩分や紫外線で変色する
- 他の衣服素材同様、カビが生える可能性がある
こうした絹の特徴があり、しかも、きものは数年、数十年単位で保管するものなので、保管の方法が気になるわけです。絹のきものの収納で考えることは4つあります。
1)湿気から守る
絹は水分で縮みやすく水洗いすると縮むのはもちろん、湿気でも縮みます。また、湿気はカビ発生条件のひとつ。
なので、縮み防止とカビ防止のために、湿気からきものを守ることがとっても大事。
2)虫対策をする
絹そのものはもともと虫が付きにくい素材と言われます。ですが、ウールや他の素材についた虫が入ってくると絹も食べられちゃう。
穴が開いてしまったら…もう戻りません。。
*穴が開いたらろからかがって修復するという方法もあることはあります
3)光から守る
きものが変色する原因になります。
お日様の紫外線はもちろん、蛍光灯の光でも変色してしまうそう。
4)化学系のガスから守る
帯板の接着剤とか、防虫剤をいろいろ入れて化学反応が起こっちゃうとか…
えー!?そんなことがあるの!?ということが起こります。
つまり!
二つ折りor三つ折りにたたんで仕舞えるスペースがあって、
湿気・虫・光・ガスの4つから守る
この2点がクリアできることが大事!!
桐箪笥はこの点をほぼほぼクリアできる、とても優秀な家具なのです。桐箪笥については、こちらの記事にも書いています。
ですが、この2点をクリアできれば、桐のタンスがなくても良いわけです^^
きもの収納は4つのトラブルの元から守ればいい
きものの収納の2大原則
1)二つ折り(せめて三つ折り)でたたんでしまえるスペースを作る
2)トラブルの元である湿気、虫、光、ガスから守る
これが実現できれば、別に和服専用の桐箪笥でなくても良いわけです。
それでは、トラブルの元になる湿気、虫、光、ガスから守るための基本の対策をお伝えしますね♪
1)湿気からきものを守り、カビと縮むのを防ぐ
・高い位置にしまう
湿気は空間の低い方に溜まります。なので、洋室のクローゼットで、高い位置に棚があることが多いですよね。そこを着物スペースにするのもおすすめです。
タンスにしまう場合も、着る頻度の少ない礼装ほど上段に入れるようにしましょう。
・ちゃんと和紙でできたたとう紙を使う
きものを包む和紙のたとう紙は、湿気を吸ってきものを守ってくれます。きものを一枚一枚、たとう紙に包んであげてください。
たとう紙が「もう湿気を吸えない!」となると茶色くシミを出して教えてくれるます。シミが出たら交換してあげてください^^
・余計な新聞紙や洋紙は全部捨てる!
たとう紙の内側に持ち運びやすくするため、厚紙が入っていたり、引き出しの下に新聞紙を敷いたりする方がいますが、全部要りません。
カビの温床になるだけとのこと。
たとう紙だけで十分^^
・除湿剤を活用する
除湿ポッドを入れるよりも、除湿シートを引き出しの底と上に敷くのが、きものには効果的とのこと♪
・ベッドの下に保管するのは絶対NG!
やりがちだけどダメなのが、ベッド下に入れること!
人は寝ている間に一年中汗をかくので、ベッド下は一番湿気がたまります。
2)虫からきものを守り、虫食いを防止する
・絹だけで保管する。
先ほど書いた通り、実は絹はもともと虫がつきにくい素材です。ではなぜ、虫食いが起こるかというと、ウールについた虫が絹にも移動すると
食べられて穴が開いちゃう!というわけです。
なので、絹のきものと、ウールの衣服を混ぜて保管しない!!!
モスリンの腰紐もウールが入っているので、きものとは別々で保管しましょう。
絹は絹だけで保管するのが鉄則です。
・天然の防虫剤を入れておく
防虫剤というと薬局で買うもの、、というイメージがありますが、化学薬品の防虫剤は臭いが残りやすく、別々の防虫剤を使うと化学反応が起きてトラブルのもとになります。
昔から使われていた防虫剤を使うと、臭いがきものにつかずおすすめです。
ひとつは、イチョウの葉。
イチョウの葉は防虫効果があるものとして、昔からきものや和紙の保管に使われてきたそうです。
秋に、枝から落ちたイチョウの葉をきれいに拭いて、お茶パックに入れたものを引き出しに入れておくと防虫効果になります。
天然樟脳もおすすめです
クスノキの枝から取れる天然樟脳も防虫剤として昔から使われてきました。
化学樟脳はものすごく臭いが残るので、私もほんっと苦手。。ですが、天然樟脳はそんなに臭いもきつくなく着ると香りが飛びます。
・モスリンの腰紐にアイロンがけをする
収納からは離れますが、モスリンの腰紐はウールなので虫がつくときものにも移る可能性があります。ときどき、腰紐に高温アイロンをかけてあげると虫除けになります^^
3)光からきものを守り、変色を防ぐ方法
たとう紙には光が通過します。
たとう紙に包んだだけで、室内のラックに載せたりすると、これだけでは変色の心配があります。
タンスやクローゼットの扉などで光を遮断できない場合は、大きな風呂敷で包むなど一手間かける。
4)ガスからきものを守り、トラブルを防ぐ方法
・要らないものは捨てる!!
意外とねぇ…タンスにはいろいろ入ってるんですよ。。
もう使わない帯板とか、防虫剤の空袋とか、何が入ってたのかビニール袋とか。要らないものは箪笥に入れておかない!
・紙箱収納をしない
着物屋さんによっては、購入すると持ち運びしやすいよう紙箱に入れて納品してくれます。ですが、洋紙は湿気をためます。その箱をそのまま収納に使わない。
・化学系防虫剤は混ぜない
化学系防虫剤を使うなら、一種類を使い続ける。混ぜるな危険、とのこと。
実際にどうするの???きもの収納事例
ここまで、きものの、特に絹のきものの保管と収納のポイントを書いてきました。
お家によっては、日本家屋でもともと風通しがよく湿気対策は神経質にならなくて良いとか、逆にマンションの1階のお部屋で普段から湿気が気になるとか、それぞれの条件が違います。
全てを完璧にしなくてもいいけれど、ご自宅の状況を見て、できることをやれたらいいのだと思います。
お家の状況に合わせて何をやっていけばいいか??
もう少し具体的に、桐箪笥を使わないきもの収納事例をお話してみます^^次に一緒に考えて参りましょう♪
洋服チェストを使う
幅90cm程度のチェストがあれば、きものを二つ折りでしまえます。
私はひとり暮らし1K生活になったとき、木製の3段チェストを2万円ほどで購入し使っていました。
紫外線が当たりにくいよう置き場所を気をつけて、虫除けにイチョウの葉っぱや天然樟脳を入れておきましょう^^
お部屋が一階などで、湿気が溜まりやすい場合は、除湿シートを引き出しの底に敷くなどもう一手間を。
プラスチック衣装ケースを使う
家具を増やすのはいや!という方は、プラスチック衣装ケースもアリです。
引き出しタイプのフィッツシリーズ幅44cm、奥行74cmのタイプは、三つ折りで入って出し入れも楽と使っている方が多いですね♪
プラスチックケースなら、絹とウールを分けてしっかり閉めれば虫除けになります。
プラスチックケースで気になるのは湿気対策なので…
✔︎ できれば押入れやクローゼットの上段におく。(取り出す時は気をつけて…!)
✔︎ 押入れの下段に置く場合は、衣装ケースの下にスノコを敷いておく
✔︎ケース内の底に除湿シートを敷いてから、きものを入れていく
といったもう一手間を入れましょう^^
スチールラックにおく
天井まで支えてくれるスチールラック。
私も一時期、家にあったなぁ。
幅があればこのラックに載せる、というのも手です。
ただ、光防止のために必ず大きな風呂敷などで光が入らないように包むこと。
また、ウールのものを近くにおかないこと。
ストールとか要注意デス!
きもの専用収納袋を使う
ウールとわけたり、きものだけで収納するスペースまでは無い!
という方は、きもの専用収納袋を使う方法があります。
例えば きものおたすけくらぶさんの
「きものキーパー」
http://kimono-keeper.jp/
こちらは布製の袋にきものを入れるわけですが、中の酸素を抜けるので虫は生きていけず、カビも出ない、というもの。
ウールと同じ空間に置いてもいいし、湿気の多いベッド下に入れても大丈夫、とのこと。
留袖や振袖、礼装の袋帯…数年に一度しか登場しない、大切なきものの保管に使われる方も多いそうです^^
きもののメンテナンスの極意は??
ここまで書いてきましたが、どんなに収納に気をつけていても、絶対に大丈夫、カビも虫も出ない、と言い切ることはできません。。自宅の状況に合わせて、自分でやれる範囲で様子を見ながらやっていくしかないなぁと思っています。
でも、きものの一番の、最高のメンテナンス法があります。
それは
・
・
・
・
着ること。
着ることが、きものの最高のメンテナンス。
着る前後に干すことで絹に呼吸をさせ、着て動いたりたたむことで絹に運動をさせる。
これが一番。
何年も仕舞い込まず、着るために何度か出していれば、トラブルにも早く気付きます。
なので、この先20年、30年、本気で着る可能性が無いきものなら、手放すことも一案です。
私も頂き物で、自分では着ないというものは、人にまた譲り、循環させます。
私がただ持ち続けるのは、きものにとっても 私にとっても意味がないことだと思うから。
改めて。きもののお手入れや収納を、私たちが向き合う意味を考えてみました。
よろしかったらこちらのミニ動画講座をご覧になってみてくださいね^^
収納をしなおしたらご褒美がありました❤︎
そして2020年このGWに、私も全部きものを整理整頓しなおしました…!!
タンスの上から母の留袖、訪問着、袋帯…と良いものから入れなおしました。
引き出し下段に入っていたもう使うことはないだろう、という色あせた長襦袢や肌着、40年前の改良帯枕…を全部処分。
何十年前に入れたのか…空になった防虫剤の袋もちょいちょい出てくるんですよね。。これも処分!!
タンスの外に溢れかけていた絹のきものを全部タンスに入れ直しました^^
ぐちゃぐちゃしがちな帯揚げ、半衿、伊達衿、帯締めも全部出して仕舞い直しました。
小物については別に決まった仕舞い方はないのですが、私はタンスの引き出しにたたんで並べて入れています。
ただ、帯締めの房は気をつけています。房も絹糸なのでそのまま放置しておくと、湿気を吸ってチリチリになってしまうのです…汗
房をまとめる結び方をしておくと一安心^^ 動画で解説してみたのでご一緒にどうぞ!
私もついにこの房をまとめる結び方ができるようになりました♪♪(ヘタッピでずっとできなかった…笑)
そして片付けていたら、見たことのない夏帯と小さな布バッグが出てきました♪
お片付けをがんばったねと、きものの神様からのご褒美でしょうか^^
きものが眠るタンスはほんっと宝箱だなぁ❤︎
たいへんだったけど…すっきり!!
お片付けをすると気持ちもすっきりしますね^^
お手入れや収納にかける時間も、着物と共にあるとても素敵な豊かな時間。そう思えたらいいなとおもいます^^
そのほか、着物の着こなしや着物との付き合い方について、上杉惠理子に直接相談したいことがあれば、個別セッションをご活用ください。90分ZOOMまたはリアルでお受けしています。
初回の方には特別価格でご案内しております。
お話できますこと、楽しみにいたしております!
和創塾
〜きもので魅せる もうひとりの自分〜
上杉 惠理子
Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/wasojuku/kimono-strategy.com/public_html/wp-content/themes/jin/cta.php on line 8
Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/wasojuku/kimono-strategy.com/public_html/wp-content/themes/jin/cta.php on line 9