メンズ着物デビューを応援してます!^^
こんにちは。上杉惠理子です。
「着物、気になるんだよね」「着てみたいんだよね」と思っているのは女性だけでなく、男性でも意外といらっしゃいます^^ そんな殿方たちの着物デビューをお手伝いもさせていただいてます。
今回サポートさせてもらったのは、ファイナンシャルプランナーをされている立川健悟さん。著者仲間で、同い年で、議事堂ツアーも共催したりと仲良くさせてもらっています^^
▼立川さんの2冊目の本のときのお話
紹介を生む仕掛けづくり/『お金が増えるのは、どっち?』立川健悟著https://omoito.com/?p=1070
立川さんは二年前から浴衣を着るようになり

↑昨夏の国会議事堂ツアー
浴衣は自分で着られるようになったので、と今回はついに!夏以外に着られる着物もつくりたいとご相談いただきました。
ひとつひとつ決めていく 反物選びから受け取りまで
まずは反物選びから!3月3日に、銀座もとじ 男のきもの店さんに集合!
いろいろお話を聞いて着用シーンを想像し、染めかお召か紬かどれがいいか、どんなお色味がいいか、羽織がいるかいらないか、羽織の色はどうするか…などなどご提案。

ビジネスパーティでも着る可能性がある方なので、ジャケット代わりになる羽織は、夏以外の秋冬春はあった方がいいと判断。暑かったら羽織を脱いで、着流しで着ればいいですものね^^
立川さんの奥様と私と二人で、「この反物も合わせてみて!」「…それは却下」とあれこれツッコミつつ、着物と羽織の反物が決定!
これで終わりかと思いきや、いやいや…安心してはいけませぬ^^ 着物はここから!
着物と羽織の反物が決まったら、
- しっかり採寸!(浴衣を仕立てたことがあっても、改めて測り直し)
- 着物の裏地はつける?つけない?
- 裏地をつけるなら、その色はどうする?
- 羽織も裏地はつける?つけない?
- 羽織も裏地をつけるなら、額裏(がくうら)はどうする
- 長襦袢はどうする?仕立てる?既成の襦袢Tシャツで一旦済ませちゃう?
などなど決めることが意外と多い!!着物を着たことがない方にとっては、ひとりだと「もういい!お店にお任せ!」と言いたくなりますよね。
そこを、なぜこれを決める必要があるのかをお話し、「どうしますか?」と最後まで決断を伴走するのが、私のお役目だと思っています。
そうやって自分で決めたからこそ、その後の「自分の着物」という愛着にも繋がるからです。
さらに!
4月6日に仮縫いチェックで再度お店へ伺いました。

今回お世話になった 銀座もとじ 男のきもの店では、仮縫いサービスがあります。
裏地をつけずに仮縫いをした段階で、一度ご本人に着てもらって、細かいサイズの最終確認をするというもの。
男性はおはしょりがないので、サイズが合っているかが着付けのしやすさやシルエットに影響します。なので、オーダースーツのように仮縫いしてくれるのです^^
現時点で銀座もとじさんだけで行っている、男性の着物のための仮縫いサービス!着付けで調整できる女性には無いサービスなのです〜。
しっかりサイズをチェックして、仮縫いでも着てみた状態で帯と羽織紐をゆっくり選びました。
そして本日4月26日夕方、無事に着物と羽織が仕立て上がったということで、受け取りにも同席させていただきました。
着付け方、羽織紐の結び方、そしてたたみ方までしっかりレッスンを受けていました^^ お疲れ様!


ご本人も奥様も嬉しそう!

もとじの会長さんもいらして、店頭で記念撮影♪

屋外に出るとまた色味が変わって見えるのが、着物の魅力だなぁと思います^^
男着物の仮縫いチェック、どれぐらい変わる?
今回私もとても大きな学びになったのが、仮縫いで何を調整しているかでした。
特に羽織。
▼画像の色味で違うものに見えますが、同じ着物と羽織です。

仮縫いのときと仕立て上がったときと比べると、正面から見たとき、羽織の衿がストンと落ちるように調整されているのがわかります。
そして後ろの背縫いの部分。

仮縫いのときは背縫いがピコンと持ち上がっていたのが、仕立て上りではスッキリ。
着物は基本、直線縫いですし、着物は四角い布を、立体的な身体にまとわせる衣装。なので、若干のシワやドレープが生まれるのは当然なのですが、お仕立てでこんなに違うんだなぁ〜おもしろいなぁ〜〜と思ったのでした^^
新しい大島紬
そして今回、立川さんが選んだお着物がこちら。

画像だとわかりにくいかと思いますが…黒地に細かな白いドットの柄、こちら奄美大島の泥染大島紬です。
『教養としての着物』でもご紹介しましたが、奄美大島の泥染大島紬は、シャリンバイ(別名:テーチ木)染めと泥染をするのが特徴。(注:泥染ではない大島紬もあります)
私も、『教養としての着物』を執筆するときに初めて奄美に行き、染織の現場を見学させていただきました。そのときのブログ記事を置いておきますね♪
通常の泥染大島紬がどうやって染められているかというと、まずシャリンバイの枝をチップにして煮出します。

煮出した液で、糸を20回ほど染めます。

その後、泥田で泥染をして化学反応を起こす。

↑2021年12月に泥染体験をさせてもらったえりこ
これを4〜5回繰り返して、ちょっと茶がかかった黒に染めていくのが草木泥染大島紬です。

↑この糸の見本から、左から真っ白な絹糸が黒く染まっていく様子がわかるかと^^
これが基本の泥染大島紬の染め方です。
ですが、銀座もとじの二代目社長(奄美出身の会長さんの息子さん)が、ふと気づいたのだそうです。
「大島紬の下染めは、シャリンバイじゃなくても良いのでは?」
「もっと昔は、シャリンバイ以外でも染めたのかも?そうしたら他の泥染の黒ができるかも?」
そうして行われたのが、泥中の布という2023年の特別企画でした。
『泥中の布-HIRAKI project-』
金井志人(染色)×柳晋哉(染織)×泉二啓太
https://www.motoji.co.jp/blogs/events/hirakioshima202302_04

これまでの大島紬は、泥染の前にシャリンバイで染めるか、数は多くないのですが藍で染めるかの二択でした。
この企画ではシャリンバイと藍の他に、柳、蘇芳(すおう)、福木と藍でもそれぞれ染めた黒い反物を展示したのです。

写真では全くお伝えしきれないのですが、確かに反物を見比べると微妙な黒の違いが出る。おもしろかったなぁ〜〜〜!
なんでここでこんな長い話を書いたかというと、
立川さんが今回選んだ大島紬は、まさにこの福木+藍でベースを緑色に染めた糸を、泥田に入れて化学反応を起こして黒に染めたもの!

↑泥中の布の企画で紹介された、福木と藍で緑にした染めされた糸と、奥の葉っぱは福木です。
実は、緑という色はとても不思議な色で、単体の草木で緑に染めることができません。鉱物染料なら緑青があるのですが、草木からは緑に染まらない。どれほど多くの緑の葉っぱを煮出しても、天然の草木から緑の染料は出ない。自然の神秘です…!!
福木は通常、黄色の染料になります(媒染剤を変えるとオレンジにもなる)。そこでこの緑の糸は、黄色の福木と藍染の青を重ねることで、緑に染めています。
↓先ほどのこの写真↓

立川さん(中央)の着物が泥染大島紬なのに緑っぽく見えるのは、加工したわけではなく!泥染の前の下染が違うからなのです〜〜^^
大島紬は、一応「紬」ではあるので、女性も男性もフォーマルには着ないカジュアル着とされています。ですが、このお色味とデザインなら洗練された上質感が出るので、カジュアルからセミフォーマルまで、また息子さんの学校の卒業式まで、幅広く来て行ける。大島紬と言わなかったら、みなさん気付かないんじゃないかなぁ^^
そして泥染大島紬はとても実用的!
目が詰まっていて堅牢な布で、多少の雨に濡れても大丈夫。着ればとっても軽い!柔らかい染めの着物と比べると、たたみやすいので、着物デビューの方にも扱いやすい。
実用的な泥染大島紬で、この色とデザインに出会えたのは奇跡的。この大島紬を選んでくれて、私も嬉しいです^^
ファースト着物を、一生ものの一枚に
そしてもうひとつ、男性の着物で忘れてはいけないのは羽織。特に、羽織の裏、額裏です!

贅沢禁止!身分相応の衣装を着なさいと江戸幕府から奢侈禁止令が出た名残で、男性の着物は無地のものが多い。その中で男性のオシャレ心が表現されたのが、羽織の裏、額裏や長襦袢でした。なので、男の着物は「裏勝りの美学」とも言われます。
今回、羽織の反物を選んだとき、暑さ対策で裏地をつけない選択肢もありましたが、この額裏をつけました。愉快な骸骨たちが扇子を振ったり、踊ったりしています^^
羽織紐にも明るいターコイズブルーを入ったものを選び、一生着続けられるシンプルで上質なデザインと、立川さんらしい遊びココロが入った素敵なコーディネートになりました。
かなり嬉しかったそうで、そのまま着てご帰宅♪立川さんと奥様と3人で、かるーく飲んできました^^

こうして着物仲間が増えていくことは、本当に嬉しいです!とりあえず、GW中に2回は着て出掛けて慣れるように、と宿題を出しておきました^^ 次はご夫妻で着物でいらしてくださいね!
長文をお読みくださりありがとうございました^^
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子