こんにちは。上杉惠理子です。
2021年12月。4泊5日で奄美大島に行ってきました。
奄美に行くと言ったら「鹿児島で乗り換え?」と聞かれましたが、いえいえ、東京から直行便がありまして。今回は、Peachで行ってきました。
奄美大島をご存知でしょうか?
どんな島かちょっとご紹介すると…
✔︎ 位置は、九州鹿児島と沖縄本島の間くらい。
✔︎ 日本の離島としては、佐渡島に次ぐ、2番目に大きな島!
✔︎ 島のほとんどが森。原生林があり、マングローブ林も豊か。
✔︎ はるか昔、ユーラシア大陸の一部だった土地が離れて島になったところで独自に進化した生き物が多く「東洋のガラパゴス」と呼ばれる
✔︎ 2021年7月26日に徳之島、沖縄島北部及び西表島と共に国内5件目の世界自然遺産として登録
✔︎ 文化は琉球文化圏のひとつで、奄美語は琉球語に近い
✔︎ 西郷隆盛が潜居を命じられて3年ほど住んでいた
そして…
✔︎ 世界三大織物のひとつ、大島紬の故郷
今回は大島紬がどうつくられているのか、感じたくて行ってきました。
大島紬をつくる人たちに会う旅
今回の旅のメインはなんといっても、大島紬ができるまでを学び、作り手さんにお会いすること。
世界一緻密な織物と言われる大島紬は、30もの工程があり、それぞれ熟練の職人さんが手がける完全分業の世界。
最後の織りの工程は、東京でも見て体験させていただいたことがあります。
▼めっちゃ大変だった大島紬を織った体験記事。
ですが、織りの前工程は何度聞いても、聞くだけではよくわからない。
どうしても本に書く前に、見に来たかったのです。
まず最初に、観光のお客さんがよく行く大島紬村でひととおり工程を見学。これだけではわからないことだらけ。
さらに泥染を行う染め屋さんの工房を訪ね
大島紬協同組合で締め機の経糸づくりを見せていただき
共同加工場で緯糸の締め機も見学。
織工養成所さんで織り子さんとお話したり、ご自宅で機織りをしている海辺の80歳の織子さんを訪ねたり。
大島紬村以外は、私が一人で行ってすぐに見学できるところではなく。そもそも場所がわからない笑
連れて行ってくださったのは、前田紬工芸の前田社長です。
いつもお世話になっているきもの専門店 銀座もとじの泉二社長がご紹介くださいました。泉二社長は奄美のご出身で、前田社長とは2件隣のご近所さんだったそう。
前田さんは織元さん。どんな大島紬をつくるかを決めて、それぞれの職人さんたちにお仕事を出し、出来上がった反物を問屋さんや小売店さんに販売していく、プロデューサー的存在です。
前田さんは龍郷町の町議会議員さんもされているので、島の歴史や行政施策についても詳しく、移動の車の中であれこれ質問させていただきました。3日目の夜は、行きつけのお店に連れて行っていただき、黒糖焼酎を記憶飛ぶまで飲み比べしました笑
ほんっとお忙しい方なのに、、、ありがとうございます!!
おかげさまで来る前よりもずっと大島紬のことがわかってきた気がします。それでもまだまだで、「本当にわかりたかったら1年くらいいないとダメだよ〜」と前田さん。
工程の理解はまだまだですが、こういう方々が大島紬を作っているんだとお顔が見えたのがとても大きな大きなまなびでした。
いつも着ているきものが、皆さんの手のぬくもりでいつもよりあたたかく感じます。
そして私たちがきものを着ること、それだけでこうした地域の産地の皆さんへのエールになると本当に実感しました。
奄美旅最終日に、前田さんのお店で山のような大島紬の反物をゆっくり見せていただいたときに、自分が着るならこれがいいなぁ〜❤︎と思っていたものがありまして。
お迎えできるように頑張ろう!と思ったのでした^^
奄美で見て聞いて触れてきた、大島紬が誰によってどう作られるのか。文章では書ききれずでしたので、動画でお話しています。よかったらぜひご覧くださいね!
1本目:奄美大島はどんなところ?
https://youtu.be/6bsSJHcfTsg
2本目:世界一緻密な織物 大島紬って?? https://youtu.be/2j2sLK0x6WY
3本目:奄美だからできる泥染のこと https://youtu.be/XX7PLvAtnaY
ごはんも美味しい❤︎奄美
すっかり奄美大好きになった私。
食にもすっかり魅了されました。
奄美の食はいろいろ楽しみがあるのですが、1日目の私は「魚!お魚が食べたい!!」とこちらへ。
奄美大島南部の瀬戸内で漁船を持つ、脇田丸さん♪
https://tabelog.com/kagoshima/A4605/A460502/46007680/
写真手前から、ソウジ、イソマグロ、シビ。
カウンター席の目の前に不思議な貝があって、これは??と伺ったら夜光貝とのこと。
夜光貝の外殻は、1番表面が茶色、その下にブルーグリーンの色、次に白、1番下にパール層という断層構成。磨く度合いで色味が変わり、パール層までいくとキラキラでとっても綺麗♪ 帯留などアクセサリーパーツにもなります。
パーツとしての夜光貝は知っていたけれど、食べられるなんて!!
バター焼きにしていただきました♪ 結構固くて歯応えしっかりなので、薄切りにしてバター焼きにしてくれました。美味❤︎
奄美ならではのものが食べたい♪ と続きましてはこちら!
アバスの唐揚げ。
アバスってなんのこと??と思いましたが、ハリセンボンのことだそうです。
ハリセンボンって食べれるんだ!!!ちょっと骨が多めですが、フグの唐揚げみたい!これもとっても美味しかったー❤︎
締めはやはり、鶏飯。
元々は薩摩藩の代官に振る舞った高級料理でしたが、今や奄美大島のソウルフード。
鶏のササミ、錦糸卵、椎茸、のり、薬味を乗せて、鶏ガラベースのスープをかけていただくお茶漬けのようなお料理です。
結構食べたと思うのですが、さらっと食べれちゃう❤︎ お出汁最高…❤︎
飲み物も、奄美の黒糖焼酎で♪
普段は焼酎を飲むことは少ないのですが、その土地のお酒が一番ですね!お料理との相性もばっちりでした♪
海も綺麗でご飯も美味しくて…すっかり奄美ファンになってしまいました^^
暮らしも文化は土地から生まれる
4泊5日の奄美の旅。2日目の染め体験した日以外は、大島紬を着て移動していました。
帯は帯枕一つでも荷物を減らしたくて半幅帯。作り手さんに会いに行くときは、二筋太鼓にして少しきちんと感を出して行きました。
作り手さんのところで、夜ご飯を食べに行ったお店で、バスていで、行くところ行くところ、皆さんに「きもの、素敵ねぇ」と声かけられまくりました。
「良い柄ねぇ。よく見せて」
「後ろ姿もいいわねぇ」
「似合ってるわよぉ」
「触ってもいい???」
「私もきものが大好きなのよ」
特にお母さんたちは、とっても素敵な笑顔で声をかけてくださるので、私も嬉しくて^^ 着てきて本当によかったです^^
奄美大島に来てみて感じたことは、離島というにはとても大きな島であること。
そしてとにかく山、山が深い…!!
山!海!という感じ。
山が深いことから湧き水が豊富で、だからなのか南国の樹々がニョキニョキと自生し、水を大量に使う大島紬のような染めもできる。
奄美大島は行政区としては鹿児島県です。
これは江戸時代には薩摩藩の支配下に置かれた歴史から。 山が多く、田畑が少ない奄美大島は、野菜などは九州産が多いそう。
文化としては沖縄、琉球圏に近い。
2日目にお会いした80歳の織子のおばあちゃまご夫妻の話し言葉が、本気でわからなかったーーー!!
ハリセンボンを食べるのも沖縄と同じく。
奄美大島と沖縄の意外な共通点は、火山がないこと。火山がないからこそ、ハブがいるんですって。ハブは硫黄が苦手だから、火山がある土地にはいないんだとか。
だけど沖縄と共通点ばかりかと思いきや、また違って。
奄美大島は太平洋戦争終了時に、沖縄と同じく、米国占領下に置かれます。ですが、沖縄より早く返還され、米軍基地がありません。
というのは、奄美大島が山ばかりの地形だから。基地をつくる土地がないとわかって、米軍は早々に手放したのです。
もう少し言うと、奄美大島は源平の戦で敗れた平家の落人が流れ着いた伝説があり、江戸時代には本州から政治犯たちが送られる流刑地でもありました。
あの西郷さんが奄美大島に流刑になり数年を過ごしたことは、大河ドラマでご存知の方も多いかと。奄美でお会いしたある方は、ご先祖様をたどって家系図を作ってみたら、島流しにあったどこぞの武士であったそう。
独特の自然が認められ、「東洋のガラパゴス」と呼ばれる奄美大島は周りの島々とともに、昨年 世界自然遺産登録されました。
私が見知った奄美の歴史はまだほんのわずかだけど。
奄美大島を舞台にした人間の歴史は、この島の地形・地質に深く拠っているんだなぁ。
そう考えて自分を振り返れば、私自身も日々生活している関東・東京の土地柄に、実はものすごく影響されている。
オンラインでどこでも繋がれるという現代の一面もあるけれど、土地から離れて人間は生きることはできないんじゃないかと思う。
改めて、土地とつながりを持ちたいなと思ったのです。
人間と自然との関わりを。
自然の中での、人間の在り方を。
奄美に来てからずっと考えている。
奄美大島にはまたぜひ行きたいなと思っています^^
次は出来上がった本を持って…!
上杉惠理子
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