こんにちは。和装イメージコンサルタント 上杉惠理子です。

今日はメルマガ読者さんから頂いたこちらのご質問にお答えします。

読者さん

絽の着物があるのですが、帯は何でも使ってもいいのですか?
あと、着る上での決まりや絽の格等も知りたいです

ご質問をお寄せいただきありがとうございます^^

夏きものの代表 絽のお話❤︎

「絽の着物って、どのくらいの格なんですか?」

「絽(ろ)の着物に、帯は何でも合わせていいのでしょうか?」

こうしたご質問はよくいただきます。

「絽」という言葉だけでもちょっと専門的なのに、

絽の着物には絽の帯じゃなきゃダメ?
名古屋帯? 袋帯?
そもそもフォーマルなの? カジュアルなの??

……と考え始めると、だんだんわからなくなってきますよね^^;

今日はそんな「絽の着物」について、夏着物の基本から、格、帯や小物の合わせ方までまとめてみます。

そもそも「絽」って何?

まず最初に押さえておきたいのが、

だということ。

絽は、規則的に隙間をつくりながら織ることで、線のような透け感を出した生地です。

私たちが夏にレースや薄手の生地を着るように、着物にも暑い季節を涼しく過ごすための工夫が昔からたくさんあります。

その代表的なものが、透け感のある「薄物(うすもの)」です。

薄物の代表的な織り方がこの3つ。

絽(ろ)・紗(しゃ)・羅(ら)



絽は、線状に透けて見えるもの。反物の横方向に透けるものが多いのですが、稀に縦方向に透ける「縦絽(たてろ)」もあります。

紗は、細かな網目のような透け感。

羅は、さらにざっくりとした網目状の織り方です。

絽や紗は着物にも帯にもありますが、羅は帯で見かけることが多いですね。

こうした透け感のある生地をまとうことで、着ている本人が少しでも涼しく過ごせる。

そして何より、

見ている人にも「涼」を感じてもらう。

この自分のためだけでなく、周りの人に涼しさを届けるために装う感覚が、日本の夏の装いの素敵なところだなぁと思います^^

絽の着物は7月・8月の「盛夏」に

着物の季節は、大きく分けると、

  • 春・秋・冬に着る「袷(あわせ)」、
  • 初夏(6月)・初秋(9月)に着る「単衣(ひとえ)」、
  • そして真夏に着る「薄物(うすもの)」。

という考え方があります。

昔ながらの目安では、絽などの薄物は7月・8月の盛夏に着るものとされてきました。

ただ、最近は5月から真夏のような暑さになることもあります。

暦だけを絶対視するというより、その日の気温や場面も考えながら、季節感のある装いを楽しんでいけたらいいですね。

「絽だからフォーマル」ではありません

さて、ここが今回かなり大事なポイントです。

「絽の着物を持っています。これはどのくらいの格ですか?」

と聞かれることがありますが、

なぜなら、先ほどお話しした通り「絽」は織り方だから。同じ絽の生地でも、小紋もあれば、色無地もあり、訪問着もあります。

たとえば。▼私のこちらの着物▼は、全体に繰り返し柄が入った<絽の小紋>

同じ絽の白生地を、一色に染めれば<絽の色無地>にできます。

裾の絵が一枚につながるように絵羽模様を染めれば、<絽の訪問着>にもなります。

しかもこれは、絹と絹の代替素材であるポリエステルの場合です。

木綿で絽に織ったものありまして、「綿絽(めんろ)」として浴衣素材のひとつです。絹の小紋より、よりカジュアルになりますね^^

つまり、

「私の絽の着物って、どこに着ていけるの?」

と思ったら、まずは着物全体を広げて、どんな柄の入り方をしているのか絹なのかポリなのか木綿なのかをチェックしてみてくださいね。

では、絽の着物にはどんな帯を合わせる?

ここまでわかると、帯合わせもぐっと簡単になります。

基本的には、

夏着物には、夏らしい軽やかな帯を合わせる。

そして、

着物の格に合わせて、帯の格も揃える。

この2つを考えます。

たとえば、絽の小紋なら夏の名古屋帯、絽の訪問着などフォーマル寄りの着物なら夏の袋帯

という具合です。

「絽の着物だから、絶対に絽の帯!」というわけではありません。

もちろん、絽の着物に絽の帯はとても合わせやすい組み合わせです。

▼私の絽の名古屋帯。

左の赤い帯は母のタンスから掘り起こしたもの、右の白い帯はリサイクルで買ったもの^^

夏帯には、絽や紗以外にもありまして。

▼こちらも夏の名古屋帯。明石縮(右)と科布(左)です。

カジュアルに着こなすなら、絽の小紋に半幅帯だって良いですよね🎵

私が意識しているのは、

着物だけが軽やかなのに、帯だけがどーんと重たく見えないこと。

全身で「涼しさ」をつくってあげると、夏らしい着姿になります^^

帯揚げ・帯締めも「涼やかさ」を意識して

夏は帯だけでなく、帯揚げや帯締めにも夏物があります。

たとえば帯揚げなら、透け感のある絽の帯揚げ

帯締めなら、レースのように隙間をつくって組まれた夏用の帯締めもあります。

せっかく着物も帯も軽やかにしたのなら、小物にも少し透け感を入れる。

あるいは細めの三分紐に、小さな帯留めを合わせる。

そんなふうにすると、全体がすっと軽く見えます。

夏の着物姿は、「何を足すか」以上に、「どう軽やかに見せるか」がコーディネートのポイントだと思っています。

夏着物は、見た目ほど暑くない!?

ここまで絽の着物のことを書いてきましたがそもそも…

「夏に着物なんて、暑そう……!(無理!)」

と思われる方は多いかと思います笑

そうおっしゃる気持ちもわかります。もちろん、Tシャツに短パンと比べたら、夏の着物は暑いです笑。

でも実際に夏着物を着てみると、

思っていたより軽い!風が通って涼しい!

着物は衿元が開いていて、女性の着物は身八つ口もあります。袖口も大きく開いています。

絽や麻などの薄物なら、生地そのものにも風が通ります。さらに肌を直接日差しにさらさないので、強い日差しから守ってくれる面もあります。

私自身、夏着物が大好きです。

薄い生地が風にふわっと動いたり、透け感のある帯や小物を合わせたり。

夏にしかできない着物のおしゃれって、実はものすごく楽しいんですよ^^

「自分も、まわりの人も涼しく」が夏着物の楽しさ

着物っておもしろいことに、春・秋・冬は基本同じものを着るのに、夏だけ全部「夏専用」があります。

夏にしか着ない着物と帯があり、小物も夏用の帯揚げ・帯締め・半衿があり、足袋も草履も夏用があります。

着物の通気性が良いのは、夏に快適なようにつくられているから。日本家屋の住宅も、冬あたたかいかよりも、夏が涼しいかを優先して作られています。

日本の夏は暑くて、湿度も高い。

だからこそこの国の先人たちは、夏にどう涼しく快適に過ごすか、を真剣に考えたのだと思います。

透ける織物をつくったり、軽い素材を選んだり、見た目にも涼しい装いを工夫してきました。

そんな日本ならではの夏のおしゃれを、ぜひ楽しんでみてくださいね。

まずは浴衣から。そして次はもう一歩進んで、絽や麻の夏着物にも袖を通してみてはいかがでしょうか^^

▼動画でもお話ししていますので、合わせてどうぞ!

和装イメージコンサルタント
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜 主宰
上杉 惠理子