世界を見て、きものを着こなす

きものからモノとの付き合い方を変えよう/長坂真護展 ―天命回帰/Still A “BLACK” STAR―

こんにちは。上杉惠理子です。
2021年4月24日。和創塾 2021年4月期が始まりました。

生徒さんたちとzoomで3時間半。ゆっくり丁寧に、素材のこと、四季のこと、手仕事のこときものの価値をお話ししました。

「着付け以外のこういう話をトータルで聴ける講座はない」

「和創塾で学んで、愛着をもって心から気に入ったきものを揃えていきたい」

そんなふうに言っていただいて本当に嬉しい。3ヶ月ぶりのグループレッスンは、わたしにとっても和創塾は本当に大事なんだなと感じました。  

5年前?6年前?数え方がわからないのだけど、和創塾は2016年3月に開講した、私のオリジナルで生徒さんたちとつくってきた きものの着こなしの塾。振り返ると…当時と内容も進化したと思う。

思えばずいぶんと、遠くにきたものです。

そして昨日、17時にグループレッスンを終え、新宿伊勢丹へ。こちらの個展を見てきました。

長坂真護展
―天命回帰/Still A “BLACK” STAR―

https://www.mistore.jp/shopping/event/shinjuku_e/nagasakamago_10

「世界最大級の電子機器の墓場」と言われるガーナのスラム街“アグボグブロシー”

ここには見渡す限りに世界中から捨てられた電子機器廃棄物が捨てられている。それを燃やして、銅を取り出し売って、1日5ドルを何とか稼いで暮らす人たちがいる。土壌はひどく汚染され、燃やした際のガスを吸い込み、この地で暮らす人は30代でガンを患って亡くなるという。

長坂MAGOさんはここを訪れ、この廃棄物を使ってアート作品を作り、その売り上げでガスマスクを買って寄付したり、学校をつくったりと様々な活動をしている方。東京の百貨店での個展は初めてだそうです。

私はMAGOさんを全然知らなかったのだけど、2日前かな、FacebookでMAGOさんのこの動画をシェアくださった方がいて、電車で見て泣いてしまった。

すぐにMAGOさんのTwitterをフォローしたら、ちょうどいま新宿伊勢丹で個展をしていること、緊急事態宣言が出るから昨日24日20時で個展を終了することを知り、グループレッスンが終わった後に観に行ってきました。

撮影&SNSシェアOKだったのでいくつかご紹介します。

ケータイ、マウス、キーボード、リモコン、アイロン、カセットテープ、原型不明な電子基盤…捨てられた電子機器を使って作られた作品たちです。 MAGOさんのファンもどんどん増えていらして、売約済みの作品もたくさんありました。

私が初めてアフリカ、ケニアに行ったのは2003年。

あのときから、日本や先進国から流れ込む中古車、中古のオーディオ、Tシャツなど中古衣料品の山を目の当たりにして…これ、最後はアフリカの大地に残るわけで…ヤバイだろう、ゴミの山になるぞと思った。だけど、一面廃棄物の山になる、アグボグブロシーの現状までは想像できていなかった。

自分の想像力の拙さに。イヤな予感…で終わっていた自分の行動力のなさに。ホトホト嫌になりながら、今の自分なら何ができるか、何がしたいか、一番好きだった作品「Nature is Angry」の彼のそばで自分の腹に問いかけ、何か出てくるのを待った。

▼彼。

MAGOさんは、アフリカの、ガーナの現状を、先進国の人に知って欲しい、とアートを通じて訴える。自分達が使って捨てたモノたちがどうなっているのか、知って欲しいと訴える。

それもだいじ。ほんとうにだいじ。

でももう、その先を考える時期なんじゃないかと私は思うの。そうじゃないともう、地球はもたないんじゃないかって。

ちょっと破けた/壊れたから。

今年の流行だから。勧められたから。

CMが良かったから。

古いものを持っていると恥ずかしいから。

もっと便利なモノが出たから。

買い物はストレス発散だから。

そんな愛着なく買って所有し、断捨離する。そんな愛のないモノとの付き合い方を手放そう。

自分にとってだいじで愛着あるものだけをちゃんと選んで、愛着あるものだけに囲まれて暮らす。それは「意識高い系」な人に見えるけど、本人にも地球にもそれがいいんじゃないかなと。それがだいじな転換の一歩なんじゃないかなと。私は思うのです。

転換のキッカケが、私にとっては きものでした。

タンスに眠っている きものを着る。一枚のきものを、一生かけて着続ける。一生着続けるためのメンテナンスも着回し方も自分で工夫をする。そうしてきものと付き合うことで、自分の暮らし方が整う。

きものを着ると、地球に愛されていると感じる。

きものを着ることは、私から地球への愛を表現する方法でもある。

昨日の和創塾のグループレッスン、1回目を受けてくれた方がこう言ってくれたんです。

「今まで洋服は、すすめられるがままに、愛着も何もなく選んで着ていた。でもこれからは、愛着を持って選んでいきたい。きものではそれができると思う。そのために必要なことを和創塾で学びたい」と。

私は、MAGOさんみたいに力強いアート作品は作れないけれど、きものを着続け、きものを語ることで、世界への怒りと希望と愛を伝えていこう。

2021年4月25日現在、私の「こたえ」はこれだ。


上杉惠理子