こんにちは。上杉惠理子です。
これを書いているのは春めいてきた2023年3月2日。一昨日から八王子の実家に来ております^^
今回実家に来るにあたり、着物を持って帰ってきました。
母のサーモンピンクの色無地です。この着物の…
裾の裏地に穴が開いたのです。
絹の着物のお手入れは、普段は着た後に干してたたむだけなのですが、プロの着物クリーニング店に頼むのは大きく二つの場合です。
ひとつはシミをつけたときで、諦めてシミ抜きに出します(早ければ早いほど綺麗になります)。
もうひとつは、こうして裾に穴が開いたとき。 虫喰いではなくて、歩くときに足袋と擦れる部分に穴が開くのです。
生地によりますが、私の感覚は、70回くらい着ると穴が開く感じです。
穴が開いたら、諦めて裏地を交換します。
そして裏地を交換するということは、着物をほどくことになります。
どうせほどくなら、全部ほどいた状態で水で洗う「洗い張り」をして仕立て直してもらうのです。
絹は水で縮みやすいのですが、水にくぐらせてちゃんと洗う「洗い張り」をすると艶と張りが戻り、新品のように美しく生まれ変わります!
ほどいて、裏地かえて、洗って、仕立て直して… と工程が多いのでコストはかかりますが、気に入っている着物はそれだけする価値があると思っています。
同じ着物を穴が開くまで着るなんて、月1〜2回着物を着ていた会社員時代には想像もつかなかったのですが、独立後ほぼ毎日着るようになると早いものは2年で穴が開くようになりました爆
「着物はお手入れにお金がかかるのでは?」とよく聞かれますが、普段着の着物のお手入れは70回着てから心配したら??と正直思っています笑(ちなみにフォーマル着物はちょっと別。ここでは割愛します)
もともとの持ち主の母と相談して、裏地をどれにするかから一緒に相談します^^
このサーモンピンクの色無地は、私が着物にハマるキッカケになった一枚です。
ピンクの服なんて、花柄ワンピースなんて、絶対に私のキャラじゃない!と思い込み、黒い服さえ着ていればいいと思っていた学生時代。
黒を着ればかっこよく見えると思っていたけれど、目の下のクマは気になるし、どんどん表情は暗くなるし、「喪服?」って言われる。
黒なのになんで??と思っていた頃に出会ったのが、母のタンスに眠っていたこの着物でした。母が和裁士時代に自分で仕立て、今から40年以上前に母が結納のときに着た着物です。
この着物を着た瞬間に、あれ?と思いました。
明らかに肌が綺麗に見える。
気持ちも明るくなって、笑顔が自然に出る。
私に似合う色は、黒ではなかったんだーー!!
外見を変えると、内面まで変わることを初めて実感したのが、この着物との出会いでした。
あれからこの着物を着ていろんなところに行きました。
友達の結婚式もよくこの着物で行ったし、憧れの人に会うときにもこれを選びました。
今もよく着ます^^ よく着るので穴が開いちゃった!
なんかね、心強いの。
もともと良いお品だと思う。でもそれだけじゃない。
自分が今生きているのは母がいて、父がいて、祖父母がいて…という「縦」の時間軸を感じさせてくれるのが、この母の色無地であり母の着物たちなのです。
『教養としての着物』の最後、おわりににこう書きました。
「母の着物は、私の人生をささえてくれる最高のお守りです。」
私にとって着物は、家族のお守り。
これを着れば、どこでもちゃんと立てると思う。
そして自分がおばあちゃんになっても、母や祖母の着物を着ればあんまり孤独を感じないんじゃないかなーと思うのです。
着物を自分で着こなそう♪という仕事をはじめて8年になります。
今も変わらず伝えたいことは
着物を着ることで、外見から内面まで、そして生き方まで変えませんか?
そして、全国のタンスに眠っている着物や帯を、 先の時代を生きた人たちからのギフトとして受け取りませんか?
人生を変えるキッカケも、人生の豊かさそのものも、すでに私たちのそばにある。
個人としても社会としても、足りないものや問題に目が行きがちだけど、「ある」からもう一度はじめよう。
ただいま、2023年春期の和創塾塾生を募集中です。
なぜ和創塾をやるのか、初心をもう一度自分の中で確かにしたくて、今日はこんな記事を書いてみました。
お読みくださり誠にありがとうございます。
2023年4月29日開講
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜
早割は3月31日まで!
ご一緒できるみなさま、楽しみにしております!
それではまた!
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子