きもののお悩み

ぴったりサイズの足袋を求めて/足袋一筋154年 向島めうがやさんとの出会い

きものを着始めてしばらく経った方から相談されることの一つが

足袋のサイズです。

和装では、足袋と草履or下駄とセットで、見せる足元になる。その点で、靴の中に隠れる靴下とは、足袋は全く違うアイテムです。

足袋に緩みがあるとだらしなく見えるし、ぴったりしすぎると指が痛い。手頃な既製足袋だと足の長さの違いでしか選べないので、甲高さんや幅広さんはぴったりなものになかなか出会えない。そもそも人間の身体は非対称なので、左右サイズが違うこともよくあること。

伸びる足袋型ソックスにすると、草履や下駄の上で滑りやすくなる。さらに、フォーマルな装いや、茶道や能楽など和の世界では白足袋が必須と言われる。

じゃあどうしたらいいの?

そんな足袋にお悩みを持つ和創塾の生徒さんと、足袋のお誂専門店に行ってきました。

江戸の誂足袋仕立て処 向島めうがや
https://www.mukoujima-meugaya.com/index.html

「めうがや」と書いて「ミョウガヤ」と読むそうです。

めうがやさんは、足袋の専門店。

江戸時代 慶応3年(1867年)の創業、

つまり創業154年…!!

もともと浅草にお店を構えていたところ、関東大震災を機に、隅田川を渡ってお隣の墨田区向島に移転して今に至ります。

しかも154年間、ずっと足袋一筋でつくり続けていらっしゃいます。

和創塾の塾生さん りえさんから「既製品の足袋が合わな過ぎて、足袋難民なんですー。誂えの足袋ができるところは、ないでしょうか?」とご相談いただいたので、それならと今回私も初めて一緒に伺いました。

りえさんは日本舞踊もされていて、本番では真っ白な足袋が必須(しかも五枚こはぜ指定)。なのに、既製品はサイズが合わなくて一番上まで金具(こはぜ)を留められないそう。。それは大変!!

りえさんと押上駅で待ち合わせて、歩くこと10分ちょっと。

「こんにちはー」と めうがやさんの暖簾をくぐると、5代目と5代目の奥様、そして息子さんの3名で対応くださいました。専門店で敷居が高いかと思いきや…恐縮するほど腰低く優しく丁寧にご対応くださいました。畳の上でも椅子でも、きっちり膝を揃えてお話される姿にお人柄を感じます。

「このお道具は?」
「ここで縫っていらっしゃるのですか?」
「そもそも足袋っていつからあったのですか??」
…と私があれこれ聞いても、気さくになんでも答えてくださいました。何時間でもいられそう… 感謝❤︎

お仕立てに使うお道具たち。木の色に長い時間を感じます。

採寸のメジャーも足袋専用でT字型。

こちらのミシンは120年前のドイツ製。足袋の指先を縫うため専用に改良されたミシンだそうです…!!

指先以外はお店奥の別のミシンで縫うそうな〜^^ 

そしてこちら!! 足袋の生地を裁断する丸包丁!!

足袋の布はハサミではなく、丸包丁で切るんですって!!布の上から丸包丁で押し切ることで、自然な丸みに切ることができるそうです。…私には正確に切れる気がしないのですが…すごい!!

めうがやさんでは販売する足袋の全てが受注生産。採寸、型紙づくり、裁断、縫製…全ての工程をこのお店で手作りされています。

オーダーの方法は

  1. フルオーダー
  2. イージーオーダー
  3. 既成サイズ

の3パターンがあります。

①フルオーダーは、ゼロからその人の型紙を左右それぞれ制作して、足袋を作ってくださいます。左右で足のサイズが違う人などはとても嬉しい!

②イージーオーダーは、既成サイズの型紙を一箇所変えて、その人の型紙を作る方法です。①フルオーダーより型紙代がお安くなります。

①フルオーダーと②イージーオーダーは、どちらも型紙代が別途かかり、最初につくると6足セットで頼むことになるのですが、白足袋、麻足袋、柄足袋と組み合わせてもOK。型紙から1足目をつくり、それを試し履きして、調節してから残り5足を制作してくださるので、半年弱の「プロジェクト」になります。そして一人ずつ作った型紙は、ずっと保管してくださいます。

③既成サイズも、実際は足の長さ✖️足幅/甲高によって細かなサイズ展開があります(22.3cmもあった!)。

足袋難民だと言っていた りえさんは、測っていただいたらイージーオーダーで大丈夫とわかり、日本舞踊の本番用の白足袋をオーダー。

私もせっかくだから!と採寸したら、既成サイズで問題ないことが判明。マイ型紙は要らないのか…ちょっと残念。笑 

お試しで履かせていただいた生地がのフィット感が、今までの足袋とは違う!快適!と感じまして、色と素材を変え、三枚オーダーしてきました。

お支払いは前払い。現金または振込のみのシンプルなお支払い方法です。

お洗濯の仕方も丁寧に教えていただき、後は届くのを待つばかり。既成サイズの私の足袋は7月後半には届くそうです^^ 

こうしてイチからお誂え、手作りができる足袋屋さんは 以前は各地にあったそうです。特に、花柳界がある場所には必ずこうしたお誂の足袋屋さんがありました。ところが今はもう、めうがやさんを含め、全国に2〜3件あるかないか。

きもの好きでも、足袋の誂えは最後の最後にたどり着くところ。

きものや帯と比べたら…スポットライトの当たりにくいお仕事です。

なのに、こんな丁寧なお仕事を現代に残し、続けてくださっていることに、なんだかもう感動してしまった。

めうがやさんのお仕事に触れて、エゴいっぱいの自分が浄化されそうな気がしました。こんな素晴らしいお仕事をされている方に出会えることも、きものを着る醍醐味です。

めうがやさんの後は、浅草に移動しまして、有名な洋食店ヨシカミでランチしてきました^^ 

めうがやさんの心のこもった足袋。届いたらまたご報告しますね。

和創塾 〜きもので魅せる もうひとりの自分〜 主宰
上杉惠理子


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