きものができるまで

絞りの町 有松へ/暮らしと共に受け継ぐ絞りの技術

こんにちは。上杉惠理子です。

2023年10月22日から1泊で名古屋に行ってきました。一番の目的は、22日夜に開催されたJAZZ Partyに著者仲間と参加すること!

着物で行くジャズParty こんにちは。上杉惠理子です。 10月22日から1泊で名古屋に行ってきました! 新卒で社会人デビューしたとき最初の一年半は、...

そして開けて翌日。

次に名古屋に行ったら、絶対に次に行こうと思っていた場所に行ってきました。それは…

この記事では着物産地レポ・有松版をお送りします^^

有松といえば?

有松といえば…

名古屋駅から名鉄で30分ほど。名古屋市中区にあって行きやすいはずなのに、名古屋在住時代からまだ一度も行ったことがなかったので、今回こそと行ってきました!!

私も母が持っていた有松の絞りの浴衣を愛用❤️

絞り独特のふかふか感が最高…!木綿100%でも軽くて、今年の暑すぎた夏はもうしょっちゅう着てました!

有松鳴海絞りの浴衣、最近また人気が出てきて、ここ数年で基本の紺地だけでなくカラーバリエーションが増えています。

来年もきっと暑いだろうから、、もう一枚欲しいなぁと思っています!!

浮世絵にも描かれた有松絞り

有松は、江戸幕府が成立して間もない1608年、尾張藩によって開かれた東海道沿いの街。最初は8名ほどが移住してきたのだそうです。

どうも農業に向かない土地だとわかり、何の産業を起こそうかと考え、8名のひとり竹田庄九郎が思いついたのが、木綿を藍で絞り染めをした手ぬぐいを作って売ることでした。

ちょうど三河で木綿栽培が始まったときで素材の木綿布も手に入り、有松絞りの手ぬぐいは東海道を通る旅人の人気のお土産になります。

有松の街のにぎわいは、東海道五十三次をはじめ、浮世絵にも多数描かれたほど。

そこから有松絞りで浴衣もつくるようなり、昭和にはいると振袖や訪問着など絹の着物にも、絞りを入れるようになります。

有松は街が起こったときから400年、絞り染とともに生きてきた街なのですね。

そして有松は東海道沿いに絞り染め問屋が並ぶ、江戸の雰囲気のまま街並みが残っています。戦災でも焼けなかったんですよね。

その美しい街並みは2019年に日本遺産に登録、国が選定した伝統的建造物群保存地域になっています。

街並み、絞り、そして地元の山車のお祭りと3つの要素を大事に、まちづくりをされています。

街並みも美しく、絞りのことも学べるとうきうきしながら向かいまして…

ほんっとに美しい場所でしたーーー!!

秋晴れのちょうど良いときに行たのもよかったです。月曜日で空いてるし♪

最初に有松・鳴海絞り会館へ。

1階が絞りの小物のショップ、2階が有料で(大人300円)展示室と実演のスペースになっています。

この日は、ふたりの絞り手さんが、観光客とおしゃべりしながらお仕事をされていました。

有松の絞りの技法は100種あると言われます。展示室には、こんな絞りあるんだー!!!と驚きの手法がいくつも紹介されていました。

ですが、絞り手さんは基本「ひとり一絞り」なのだそうです。

ひとつの技法をとことん、一生かけて極め、担当していく。

高橋さんは手蜘蛛絞り

浅井さんは鹿子絞り

浅井さんは有松のお生まれで、お祖母様たちが絞りをしていたので、子どもの頃から見よう見真似で絞りを始めたそう。「絞りをやってなかった時期もあるけど、手が覚えてる」とのこと。

そういう人は結構多いそうで、絞りが有松の人たちにとって日常だったことが伝わってきます。

高橋さんはまたユニークなご経歴。

もともと神奈川のお生まれで、お父さんのお仕事で名古屋に移られきた方。60歳を過ぎて絞り染めの教室に通ったことをきっかけに、絞り手になったそう!!!

93歳とおっしゃっていたかと。60歳すぎてから始めて約30年のキャリアがある…すごい!!

「絞りをやるようになってよかった」「絞りをしなかったらテレビ見てばかりだったと思う」と高橋さん。「私が絞った浴衣を気に入って買ってくれて、祭りに着てきてくれたお客さんもいるの」と嬉しそうにお話くださいました。

「あなたも何か一生やれるものを見つけた方がいいわよ」とご教授いただきました!!

着物の世界って、こうした人生の大先輩とのご縁があり、ありがたいなぁと思います。

高齢化していますが、こうして絞りの技術は今も残っている。そしてベトナムなど海外でも絞り手さんを育ててきて、今の有松がある。

絞り手さんに注目がいきがちですが、もともとの図案をつくる人もすごいし、これを染めていく人もすごいし、糸を解く専門の人もすごいし、糸残りや破れがないか検品する人もすごい… 細かい分業体制で成り立っているのは奄美の大島紬と似ています。

会館を出た後、反物ももっと見たいな~と思いながらふらふら歩いていたら…ありました!!

井桁屋さんは、有松の中で敷地の間口が一番大きい1861年建造の立派な建物。

中に入ると天井が高く、奥にずらりと絞りの反物が並んでいました…!!!9代目の店主さんご自身が天然藍染もしながら販売もされていて、絞った後の染めのお話をたくさんしてくださいました。

↑右が絞って染め途中のもの。解くと左と同じ柄になるそうです。。。全然わからん笑

化学染料はカラーバリエエーションが広く色移りしない良さがありますが、天然藍染で何十回も染め重ねて出す色合いは本当に美しいなぁとうっとり❤︎

ちゃんと絞った人と染めた人の名前も書かれた反物もあり、こんなお品は東京では見たことない!!

お値段もメーカー直なので、東京などでは買えないお値段ですね。絞りの浴衣は、有松に直接買いに行った方が、選べる選択肢も広いしリーズナブルなのだと実感!!

他にも有松の東海道沿いには、若手の作家さんのショップもあります。

カシミヤニットを絞り染めしているショップもありました!!いろいろとチャレンジをされているのですね。へぇ~~~!!

有松では、6月第1土曜日と日曜日に有松絞りまつりが開催されており、今年はコロナ後初の開催だったそうです。

有松絞りまつりには大賑わいで、絞りの浴衣を着てくる人も、絞りの浴衣を求めにくる人も多く、その時期は仕立てが混むとのこと!

有松なら年中、浴衣を扱っていらっしゃるので、買いに行くなら4月頃までに行くのが良さそうです^^

多分、来年も暑そうだから、、絞りの浴衣を一枚増やしたいなぁ〜

着物の産地は全国にあります。

こうして行ってみるとやっぱり勉強になるし、携わる方とお話できるとますます好きになります^^

有松は街歩きも楽しいので、ほんっとおすすめ♪

そういえば、絞り会館の入り口で壁に貼られた地図を見ていたら、ご見学にいらしたグループの女性に「もしもし」と後ろから声かけられました。

振り返ったら、「マネキンさんだと思った!!着物がとっても素敵だったから!!」とめっちゃびっくりされました笑

マネキンに間違えられたのは人生初めてでした^^; 

というわけで今日は有松レポでした♪

こうしてまた産地レポートを増やしていきたいと思います^^

和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子


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