こんにちは。上杉惠理子です。
桜の開花予報が気になり始めた2024年3月2日、こちらのイベントにお邪魔しました。
一般社団法人 巫女文化伝承協会 主催
巫女縁日
https://mikobunka.wixsite.com/mikobunka/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E5%B7%AB%E5%A5%B3%E7%B8%81%E6%97%A5
巫女縁日のメインイベント対談にお招きいただきました
こちらの協会で巫女として活動されている 和創塾塾生 ちえさんのご紹介で、今年1月末に着物の講座をさせていただきいたことがご縁。
1月の講座の様子はこちらのブログにまとめております^^
今回の巫女縁日では、まさに「縁日」ということで和文化に関係するブースが並び、メインステージでは踊りや演奏やさまざまなイベントが開催されました。
会場に到着して賑わいにびっくり!!!たくさんの方がお越しくださっていました!!
私がお招きいただいたのは、メインイベントの対談!!
巫女文化伝承協会代表で宮司の桃山きよ志さまと、一般社団法人日本礼法道協会 代表理事で礼法講師の坂井志暢さまと、「日本文化から地域を想う」というテーマのもと、3人で対談させていただきました。
宮司さんと礼法の先生と…3人目は私で良いのか!?とお話を頂いたときは正直びっくりしましたが、60分とても楽しく、良き時間となりました^^
- それぞれの今の仕事の内容と、それを行うに至った背景
- 日常での神社やお寺とどう関わっているか
- これぞ日本文化、日本文化の特色は何と考えるか
- 日本文化の今後の行く末や可能性について
など司会の方からの問いかけに3人でゆっくりお話させていただきました。お客様もとても前のめりで、「へえ〜!」「すごい!笑」など大きく反応くださり、本当に楽しい対談となりました^^
対談の内容は巫女縁日ライブ配信のアーカイブからご覧いただけます^^
https://www.youtube.com/live/zk2khCv3yVA?si=jbdl5vzt943bxJNg
(3人の対談は3時間4分頃から)
待ったなしの日本文化の今に一歩踏み出す
お二人との対談を通じて私自身も思うところが色々とありました。
ひとつが、伝統を守ることと、広げるための革新とのバランスをどう考えるか。
礼法講師の坂井さんも、現代のライフスタイルに合うようオリジナルの礼法講座を開催されています。
礼法も茶道などと同じで、終わりなき道。
とはいえ、終わりなき学びを現代の人が皆できるとは限りません。オリジナルの講座を作ることで、そこを乗り越えたいとおっしゃっていました。
また、宮司の桃山さんも、ご自身が7代目宮司で、どんどん減りつつある寺社仏閣の現場を目の当たりにしていらっしゃいます。
日本の神社は人口減の影響で、有名な大きな神社(伊勢神宮とか)はもちろん残りますが、地域の小さな神社は減少の一途だそうです。。
なんとかしたいと試行錯誤する中で、巫女スクールを立ち上げられました。そしてその一環で、巫女縁日が開催された次第です。
おふたりとも表には出されませんが、新しい試みをすることに、周りの方からいろいろなご意見があったかと想像します。
この日のお客様からも「あまり外から入れすぎて、日本文化が崩れてしまうと言う人に対してどう応えますか?」とご質問がありました。
それに対しおふたりとも、「もう待ったなし」という危機感をお持ちだと感じました。
まずは入口を広げないと、神社も礼法もそして着物も、そもそも残していけない岐路にあると。
着物も今、いろいろな着方を試し、楽しみ方の幅が広がってきています。
洋服ミックスのコーディネートを楽しむ方、絹ではなくデニムやポリエステルなど気軽な素材を楽しむ方、既婚女性の第一礼装 黒留袖をおしゃれとして着る方… などなど。
それに対し、いろいろな意見があります。「着物警察」という言葉もよく聞かれました。
そうした現状に対し、私からは【着物も1000年かけて変化してきたもの】というお話をさせていただきました。今私たちが着物とイメージする「正統派」の着方も、意外と最近 明治以降に生まれたものなのですよね。(『教養としての着物』参照^^)
その変化の流れを知っていただければ、着物をそれぞれが楽しむ姿に「伝統が崩れる」という結論にはならないのではないかと思っています。
一方で、着物を作っている産地や職人さんは、経済的に大変な状況にあります。後継者問題も厳しく、無くなりつつある「絶滅危惧」な技術技法があちこちにあります。
裾野を広げ、着物を着る人をまず増やしながら、伝統工芸の着物の良さを伝え、いつかとっておきの一枚を買いたいと思ってもらえるようにしたい。
そのために、大変だ、危機的だ、と煽るのではなく、前向きに楽しんでいる私たちの姿から裾野を広げていけたらと思うのです。
選択肢を広げていくことがこれから大切だなぁと思いますし、自分は何ができるんだろうと考えます。
伝統と革新のバランス… 坂井さんも桃山さんも皆さま試行錯誤されていることがわかり、なんだか勇気をいただきました!
日本文化の本質とは何か
今回の対談でもともと台本にあった問いのひとつが
「これぞ日本文化、日本文化の特色は何と考えるか」
でした。
日本文化の特色はいろいろあるかと思います。私はひとつ挙げるならとこうお答えしました。
自然への畏怖
例えば、「桜の着物は、桜が満開になったら着ないもの」という「着物のルール」が春になると語られます。この本当の意味は「どんなに美しい着物でも、本物の桜には敵わない。桜が満開になったら、自然の桜を見よう」という自然へのリスペクトがあるからです。
また、着物になる絹糸をつくる蚕という昆虫を「お蚕様」「お蚕さん」と呼ぶことも日本独特。お蚕さんの神様「オシラサマ」信仰もありました。
家を守る家紋に、小さな花びらや小鳥、木で作った生活道具などを描いたことにも、自然への想いを感じます。
自然は、人間が支配し思い通りに使う対象でもなく、人間が庇護すべき弱き対象でもない。身近でありながら、人びとに豊かさを与えてくれる大いなる存在が自然。
この自然観が、着物の根底にあると、私はいつも感じています。
坂井さんもここにお話をつなげてくださり、お花見、紅葉狩り、お月見…と四季の変化を楽しみ、自然と調和した生き方は日本ならではとおっしゃっていました。確かに!!本当にそうですね!
そして、桃山宮司は
「樹木一本、花びら一枚にも、全てに神様を感じられることが、日本人の感性」
「これを言い換えると、人が尊いと思っているものを尊いと思える感性」
と繰り返し、お話しくださいました。
「全てに神様がいる」というアミニズム信仰は、もともとは世界各地にありました。しかしその多くが一神教の布教とともに廃れていきました。
私が自然への畏怖と表現したものは、まさにアミニズム信仰から生まれる想い。明治から太平洋戦争まで神道は国家に「利用」されたと私は見ていますが、神道はもともとこの国のアミニズム信仰なのですよね。
「アミニズムの感性を持ちながら、先進国になった国は日本だけ。これが世界のお役に立つときがくる」と桃山宮司はさらにお話されていて、たしかに大切な日本の独自性なのだと思いました。
「あらゆるものに神様がいる」というアミニズムの感覚を持っている個人は世界中にいる。そうした人たちとつながることが、新たな紛争が表出する現代で、課題を乗り越えていく手がかりになるのかもしれません。
神社のお家に生まれて、7代目として宮司を継いだ桃山きよ志さん。
企業のマナー講師から礼法と出会い、礼法講師として活動されている坂井志暢さん。
着物とは違う切り口で、日本文化を考え、新たなチャレンジをされているお二人と対談したことで、もんもんと考えてきた着物文化、そして日本文化の本質が、私の中でこれでいいんだとカタチになった気がします。
着物も日本文化も、私たち日本人が海外に出ていくときの武器になる。
そして、日本が今後世界を舞台に稼いでいくときに、この個性的な文化そのものが原資になる。
そう思っています。
と同時に、日本の武器となり、稼ぐ原資となる日本文化は、日本のためだけにあるのではない。
最終的に、世界の平和と、全ての生命が天寿を全うするためにあると考えたい。
世界の平和という最終ゴールを見据えた日本文化の発信でなければ、真の意味では伝わらないと思うのです。
着物や音楽や茶道や…ユニークな日本文化の見た目の興味深さで終わったら、最終ゴールまでいけない。
私が着物には「自然への畏怖」があると表現してきたことは、桃山宮司がおっしゃった「樹木一本、花びら一枚、全てに神様を感じられるアミニズムの感性」と通じていて、これを本質に据えて、これを感じながら伝えていくことが扉を開くように思いました。
日本文化を世界に発信する本当の意味は、ここにあるのだと、私の中のパズルがぱちっとハマった気がしています。
カタチになったと言いながら、まだまだ曖昧ですが…^^ 本当に私にとって、とても大切な対談でした。
お繋ぎくださったちえさん、お招きくださった巫女文化伝承協会のみなさま
本当にありがとうございました!!
選んだ着物はお祭りに合うように初お披露目
巫女縁日というお祭りごとなので、華やかな着物で行きたいなぁとこちらの着物で伺いました。
着物は、昨年11月頃、叔母の箪笥から譲り受けた中振袖。
ちょっとシミがあったので、年末にお手入れに出したところ、スッキリして無事に戻ってきました。
この日初めて着まして、この着物自身も約50年ぶりにお外に出ました^^
幻想的だけど存在感あるお花いっぱいでかわいいのです💕 背中にもしっかり柄が入っていて豪華🎵私の背が小さいので、帯の下で柄が切れてしまうのが唯一残念、、ごめんねぇ。。
この着物が50年前のものだと対談でお伝えしたら、「見えない!!」と会場の皆さまもびっくりされていました!
ご一緒した坂井さんと偶然にも着物のお色味が重なりましたが、帯がシルバーとゴールドと対照的で雰囲気が違ってよかったなぁと思います。
こうしたイベントごとにぴったりな着物で、救出できてよかったです🎵次もよろしくね^^
それではまた!
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子
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