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和のミュージカル爆誕!!/「昭和元禄落語心中」観劇レポ

こんにちは。上杉惠理子です。

2週間ほど前のことなのですが、ミュージカル昭和元禄落語心中を観に、渋谷のシアターオーブに行ってきました。

ミュージカル昭和元禄落語心中
https://rakugoshinju-musical.jp

あらすじはwikiやあれこれに委ねますが、この『昭和元禄落語心中』は もともと原作は漫画。

私、漫画は読んでないのですが…爆、アニメ版とドラマ版が素晴らしくて大好き!!

落語の主な作品も理解できるし、落語界の背景もよくわかる。これから落語を聞きたい人にも、激推しの作品です^^

原作 雲田はるこ先生のオリジナル色紙がロビーに飾られていたのも嬉しかったなぁ〜〜

そんな人気作品で、私も大好きな「昭和元禄落語心中」ですが…

と正直ドキドキ…!!

だって、落語は座布団に正座してひとりで演じる芸能で、みんなで歌って踊っての華やかなミュージカルとは真逆ですよっ!!!

しかも…

作りたてのオリジナルの初演なので、初日直前まで出演者以外、何もわからないんです。

日本で上演されるミュージカルはこれまで、何度でも観たい大作の再演か、NYやロンドンなど海外からの輸入がほとんど。

そして大きな劇場で華やかに舞台を作るので、チケット代も15000円前後と安くなく、映画と比べればほぼ一桁違います。

今回はギリギリまで作り込んでいるので予告の舞台動画もなく、誰も観たことがないので、良いのかどうか劇評もない。

そんな状況だったのですが…

落語会を主催するほど落語が好きで

小学生の頃からミュージカルファンで(好きすぎて宝塚受験の経験あり)

ドラマ版に助六で好演し、一時ファンクラブに入っていた山崎育三郎さんの企画・主演ときたら

これは初演を見届けるべきだろうと、昨年末から自分一人でチケットを取っていました。

チケット代高いけど…!!(S席16000円取ったのに2階…)

「絶対に良いから!」とは言えないから… 人を誘う勇気がなかった笑

そんなドキドキで劇場に行き観た感想は…

とっても素晴らしかったのです!!

私が観た初日から1週間ほどのタイミングでもほぼ満席。 

最後のカーテンコールは客席みんな立ち上がり、スタンディングオーベーション。

衣装のほとんどが着物

落語も最後までできなくても重要なところは入れつつ、日本舞踊に、三味線に、和文化盛りだくさん♪

昭和の時代なので、時代劇より全然わかりやすく、ミュージカルなので歌もいっぱい♪しかもタンゴにロックに、幅広く。

何がいいって何よりも

対照的なお役で、二人とも圧巻…!

着物の着方も対照的。

育三郎さんの助六は、豪快にあぐら組んで膝下見せて、なんなら逆立ちもしちゃう🤣

菊比古はずっと美しい着姿。足を崩しても決して生足を見せず。

古川さんは、今回が和物ほぼ初で、着物も慣れるために毎日着たとか。

やっぱり着物は着慣れるのが一番大事ですね^ ^

ただ、ミュージカルなので、さすがに落語を最初から最後まで話せず。

落語はあんまり知らないわ、という方は

の3つは、あらすじを検索して読んでいって欲しい。

特に「芝浜」を知っておくと、助六の最後の台詞の意味がわかるかと!

そして、プログラムもよかった!!

オリジナルミュージカルの初演なので、舞台写真が全く載せられないんですね。

企画主演の育三郎さんの単独インタビュー

明日海りおさんと日舞の尾上菊之丞さんの対談

古川雄大さんと立川志の輔師匠の対談

落語指導をされた柳家喬太郎師匠のインタビュー

さらには

与太郎役 黒羽麻瑠央さんの寄席案内も♪

ミュージカルファンの皆さんから、寄席にも行ってみる方が増えるといいなぁ〜

初演なので何もわからない中、チケットを予約したわけですが初演を観れてよかった^ ^

東京が3月22日まで、そのあと大阪と福岡で上演されるのですが評判となり、現在チケットは激戦になっているそう。

知り合いの落語家さんたちも観たいけれど、チケットがもう取れないというお声も聞いています。

2月28日に初日が明けてからは、動画も出ているので舞台の雰囲気はこちらをぜひ^^

【ミュージカル『昭和元禄落語心中』】山崎育三郎・明日海りお・古川雄大が落語×ミュージカルの新作ミュージカルを熱演【ゲネプロ】
https://youtu.be/lGSO7sSfHH0?si=dFrbPTUvMVFSVKCw

…とまぁ、結果的に話題作となっているわけで

結果として、私もよかったよぉ、、と思っているわけで

この作品が「売れる」理由はどこにあったのか??

と考えたくなっちゃうんですよね。(いきなりビジネス寄りの話になってすみません苦笑)

この作品を観たくなる理由。

最近、新作ミュージカルは増えてきているのですが、「なんでこれをミュージカルに?」「誰が言い出したん?」と思うことが少なくないのです。主催の会社さんの… 戦略かなぁみたいな。

ですが、今回は違う。

2018年のドラマ版昭和元禄落語心中に出演した育三郎さんが「これはミュージカルになっても素晴らしいのではないか」と思い、育三郎さん自身が、演出の小池修一郎先生に相談し、共演の古川雄大さんと明日海りおさんにも声をかけ、まさにご自身で企画していった作品なのです。

しかも、落語とミュージカルでうまくいくのか、ミュージカルを愛するお客様にも落語を愛するお客様にもそれぞれに受け入れられるのか、とてもリスキーです。

その点もパンフレットのインタビューで育三郎さんがこう語っています。

基本的にはちょっとリスクのあるところにしか成功はないと僕は思っているんです。みんなが想像できて「いいね」というところには何も起こらなくて、「難しいよ」「やめなよ」と言われるところにしか、大きなことは起こらないと。だから「えっ、落語ミュージカル?どうやるの?」と言われるほど「よし!」と思っていました(笑)。そういうワクワクをいつも探しているんです。

…グッときます!!

そして、もうひとつ。

古川雄大さんも、育三郎さんと同じく、帝国劇場の有名作品の主演を務めている方。

明日海りおさんは、宝塚歌劇団の男役トップスターだった方。

3人とも名作エリザベートの主役トートを演じたという共通点もあります。

そんな3人が同じ舞台に上がるということで、それぞれのファンが「落語は知らないけれど、育さんが/雄大くんが/みりおさんが 出るなら観る!」と駆けつけてくる。他の出演者さんも素敵ですが、この3人は強すぎます。

最近思うのですが、芸術でもビジネスでも「チームで」つくることがものすごく大切に感じています。関係性がフラットなチームで、それぞれの得意や魅力を発揮できるよう役割分担をして、ひとつの何かをつくる。

もちろんどの舞台も、多くの人がチームで関わっているものですが、ミュージカル昭和元禄落語心中は3人で主役というチーム感を強く感じて、それが盛り上がりを作った気がしています。

なにはともあれ♪

ミュージカル昭和元禄落語心中!これから観に行かれる方は、思い切り楽しんでくださいね^^ 大千穐楽まで無事に上演されますこと、そして近い将来に海外公演が実現することを、心から祈っています!!

和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子