こんにちは。上杉惠理子です。
あけましておめでとうございます。2026年最初のブログ更新です。
突然ですが…
大麻を知っていますか??
もちろん知っている、ダメ絶対な麻薬だよね、と思った方が多いのではないでしょうか。
私が2025年にお迎えしたこちらの着物は…

大麻100%の着物です。
こちらでご紹介した帯ベルトと一緒に、2025年にKAPUKIさんでお仕立ていただいたものです。


この記事では、この大麻の着物にまつわるお話をお届けします。
種類いろいろな「麻」素材
麻の着物というと、夏ものとして私も愛用しています。

夏に涼しい麻の着物を作っているのは、苧麻(ちょま)というバラ目イラクサ科の植物です。苧麻は日本で長い歴史があり、越後上布や小千谷縮などもこれ。カラムシや青苧(あおそ)と呼ばれたりします。英語ではラミーと言います。
また、洋服でよく使われる麻素材がリネン。日本語では亜麻(あま)と言います。亜麻は、キントラノオ目アマ科の植物。
ナントカ目なんとか科とわざわざ書いたのは、苧麻/ラミーと、亜麻/リネンは、ざっくり「麻」と呼ばれていますが全く別の植物だとお伝えしたいから!
ややこしい…笑
そして他にもまだ「麻」がありまして
それが大麻(たいま or おおあさ)です。
大麻はアサ科アサ属の植物で、苧麻や亜麻とまた違う植物。今年お迎えした着物は、この大麻でできたものです。
暮らしに根付いていた大麻
大麻と聞くと、薬物の大麻を想像する方が多いかと思います。
ですが実は、
日本で大麻は縄文時代から1万年以上、暮らしを支えてきた身近で大事な素材でした。
人々の服、履物の鼻緒の芯、ロープや籠などの道具も大麻で作られました。
そして神社のしめ縄、神社の祓い串、相撲の横綱のまわしなど、神事の道具などに使われてきた素材です。
「鬼滅の刃」ねずこちゃんの着物の柄、麻の葉文様は、この大麻の葉から生まれた柄です。丈夫に育つ大麻の力にあやかろうと、麻の葉文様は子どもの産着などに刺繍されました。
他にも、お盆の迎え火を炊いたり、ナスやキュウリの足にするものはオガラといいます。オガラは、布等に使う繊維をとって残った大麻の茎芯です。
へぇ〜あれも大麻だったんだ!と、調べるといろいろ出てきてびっくり!
日本で長く栽培されてきた大麻は、薬物になる向精神性が弱い繊維用。実際、薬物としてはほとんど利用されていませんでした。
ところが戦後、GHQに「大麻は麻薬だ!」と言われ、麻薬禁止の観点から日本の大麻は根絶の危機に晒されます。
大麻農家を守るために、厳しい生産管理をする大麻取締法を作ったとも言われていますが、新規参入も生産量拡大も勝手にはできない制度です。さらにポリエステルやナイロンなど化学繊維が普及し、大麻繊維の日常需要も減少。
農家の高齢化も進み、1953年には37000軒あった日本の大麻農家さんは、現在わずか30軒程度まで減少しています。
現在は、日本国産の大麻はとても貴重なもの。神社のしめ縄でさえも、化学繊維や海外産大麻を使って作られていることが多いのが現状です。
着る大麻を復活させた人たちがいた…!
そんな日本で生産量が激減し、麻薬のイメージになった大麻で、昔のように身に纏える着物をつくろうとした人が現れたのです…!
この忘れられてしまった布としての大麻を、現代に復活させようと取り組んだのが、
京都の織屋 誉田屋源兵衛 十代目 山口源兵衛氏
麻布研究の第一人者 吉野真一郎氏
このお二人が、経済産業省の助成を受けて、大麻布の糸作りを研究開発します。
そして、あのエンタメの大手企業エイベックスがこの事業に参加。新たに生まれた大麻布の糸を「麻世妙(まよたえ)」と名前をつけ、2014年に商品化が実現します。
現在は、海外でつくった麻世妙の糸を、エイベックス社が日本に輸入し、その糸を使っていろいろなアパレルブランドが服や寝具などを作っているそうです。
そして、大麻の麻世妙で着物を作っているのは、誉田屋源兵衛さんのところだけ。

いつも着ている絹とも違う。ラミーの麻や、木綿とも違う。
大麻布、麻世妙100%の着物を着てみたい!!と少し前からずっと気になっていまして… 2025年ついにお迎えしました^^
着てみての個人的な感想は、軽くてあたたかい。水にも強く、自分で洗うこともできるので、お天気を気にせず着られるのもいい。
大麻ならではの良さはまだ感じきれていない気がしますが…いろんな帯にも合うのでよく着ています♪
また、私のパーソナルカラーは春/Springなので、黒は苦手な色です。この麻世妙の着物は、白地の部分が黄色がかかったアイボリーのような白。そこに黒でアラベスク文様を染めたもの。ベースの白が、冬/Winterの純白ではないので、私にも意外とアリでした^^
ちょうどお仕立てができたタイミングで、KAPUKIさんで開催された誉田屋源兵衛さんのトーク会で、直接お話を聞くことができました。

源兵衛さん、雰囲気あるわ。。。
大麻を作り続けている農家さんもお訪ねしました
そして、ちょうど2025年9月、大麻を育てている麻農家さんを訪ねることができました。
東京から栃木県小山駅まで電車で行き、そこから90分ほど車で移動。関東平野が終わって山間部に入る手前、鹿沼市へ。ここは野州麻という名で、産地として長い歴史があるのです。
こちらの本にも登場する、栃木県の野州麻農家の7代目 大森さんにお会いしました。https://www.amazon.co.jp/dp/4887484380
畑を見学してから、大森さんの事務所でゆっくりとお話を伺いました^^
畑には2mを超える麻が育っていました。草ではあるのですが、太いしっかりした茎に青々とした葉が茂り、たくましく育っていました。
法律で決まっているため、写真撮影はNG。。。
というわけで、大森さんの畑の近くで寄った美味しくて素敵なお蕎麦屋さんの写真を貼っておきます^^

きのこそば、美味しかったなぁ〜〜〜^^
大森さんから、たくさんお話を伺いました。
大麻の植物の魅力や力強さ
法律下での矛盾や理不尽さ…
その中でとても印象的だったのは、大麻の農家になりたいという人が増えているということでした。
大麻は育てる人間側の力量があれば、北海道から沖縄までどこでも栽培できる植物。大森さんは、これから大麻をつくりたい人の指導に、全国各地に出張されているそう。
栽培技術を習得するよりも、登録農家になるまでの手続きの方が大変そうですが、、、とても嬉しいことだなと思いました。
大麻は使い道がいろいろあって、大森さんのところで各種商品を作っていらっしゃいます。
私がその時買ったのはこちら。

糸用の繊維を取った残り、オガラを炭にした麻炭のパウダー。これを水に溶かして飲むと、デトックス効果が高いらしいんですよ〜^^ 他にもオガラの棒を箪笥や靴箱に入れています。消臭効果になるらしい。
草履の鼻緒の芯も昔は大麻でした。特に今回伺った野州麻は、鼻緒の芯としての利用がとても多かったそうです。大麻の鼻緒芯を復活させた人が京都にいらっしゃいまして、そのお話はこちらの記事に書いています。
最近は大麻からとった精麻の浄化力に着目する方も増えています。仲良くさせていただいている魔女セラピスト 福永敬子さん が、数年前に作ってくれた精麻のほうきも愛用♪ 日々の浄化に使っています^^

知れば知るほど、日本という島国で生きるものにとって、大麻という植物は本当に大切なものなので、暮らしの知恵そのものだと感じます。
大麻が日本の文化や暮らしに根付いていた植物であることを、着物を着ていなかったら私も知らないままだったと思います。大切な学びを得た2025年でした。
麻世妙の大麻100%の着物を着ることで、自分も大麻を思い出していきたいし、大麻の存在を伝えていく一役を担いたいと思う。
そうすることで、これから麻農家になる人の応援もできたら嬉しい^^ いつか、国産大麻で麻世妙の着物ができたら素敵だなぁと夢見ています。
というわけで、2025年は大麻と出会った一年でもありました。2026年も着物でたくさんの方に会って、いろいろなところに行って、その経験をお伝えしていきたいと思います。
本年も宜しくお願いいたします。
和装イメージコンサルタント
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子

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