こんにちは、上杉恵理子です。
2024年6月28日から7月10日まで二週間、幡ヶ谷のギャラリーを兼ねたカフェ&バー アウルセカンドフロアさんにて幡ヶ谷きものweekを開催しています。
壁を飾るのは、帯です。
私が着物と出会って今年ちょうど20年。着物は、母や祖母、友人のお母様やご近所のおばあちゃまなど、先の時代を生きた女性たちから何枚も譲り受けてきました。その一方で、帯はかなりのお金とエネルギーを注いで自分で集めてきました。そうした思い入れのある帯たちを壁を飾らせていただきました。
この記事では会場の壁に飾った帯たちを、1点ずつご紹介させていただきます。
注)帯は全て主催 上杉の私物で非売品でございます^^
京紅型 花紋様の名古屋帯
24歳で着物を着初めて、27歳でやっと社会人になった私が、一年目のボーナスで初めて自分で買った帯です。
母のタンスには赤や黒など地味…じゃなかった笑、落ち着いた色の帯が多かったので、明るい白寄りの帯が欲しくて選びました。
花柄ですが可愛すぎないデザインで、十年以上経った現在も、よく締めている一本です。
メーカーは、京都の栗山工房。
沖縄の伝統的な型染め「紅型(びんがた)」に魅せられた初代・栗山吉三郎が、紅型と京都を代表する染物として京紅型を確立したそう。
現在も栗山工房の帯は、ファンが多いですね♪
羽織の余り布でつくったバラの地紋の帯
写真だと光で反射して水色っぽく見えますが、実際は青みのあるグリーンです。
もともと着物用の反物で、羽織にするために購入したところ、3mほど布が余ってしまったんですね。その余り布を帯に仕立てていただいたものです。
詳しくはこちらの▼のブログにまとめています。
バラの柄に見えますが、このバラは糸や織り方を変えて布地全体に織り出した織模様(着物では地紋と言います)です。描いているわけではないので無地にも見え、どの着物にも合う便利な一本です。
一番下が色が変わっているのは日焼けで、よく見ると角が擦れつつあるのも、よく使っているからこそと思っていただければ幸いです^^
令和献上博多名古屋帯
福岡県の博多織のメーカー OKANOさんが、2019年の令和への元号改元記念に発売した記念の名古屋帯です。
「令和」が万葉集の春の歌にちなんだことから、菫色、梅色、桜色の3色を使用。よく見ると途中に梅や桜の紋様が混ざっています^^
隠れている裏側には「令和改元記念」とも織り込まれています。
とっても可愛い色味ですが、着物ではなく帯で、面積がそこまで多くないので、そこまで可愛くならずこれも色々な着物に合わせやすい帯です。
▼下のブログ▼にも書きましたが、浴衣にも合わせられる献上柄の博多名古屋帯なので、一年中愛用しています^^
孔雀の引き抜き帯
孔雀を中心に梅や牡丹を描いた、まさに絵画のような一本!布地にそのまま描いたのでしょうか?そしてよく見ると、孔雀や一部の梅の花に刺繍を施すことで、立体感が出て視線を集めています
これは、戦前のアンティーク帯なのでざっと100年ものでしょうか。。もう着ないので、着てくださる人に譲りたいとお預かりしたものです。
実はこの帯、現代のお太鼓結びをするとこの豪華な孔雀が隠れてしまいます。引き抜き帯といったそうで、別の締め方をすることで孔雀が出てくるそう。
この帯は、欲しい方いらしたらお声がけください!^^
赤バラの染め帯
「美女と野獣」を思い出す、どんっと赤バラを描いた染めの名古屋帯。写真の上の部分が背中のお太鼓の柄、折り返している細い部分がお腹の正面に出る前柄。
お太鼓に出る上のバラには、金の刺繍で縁取りがされていて、立体感を増しています。
この帯は、2022年年末の世田谷ぼろ市のリサイクル着物屋さんで出会いました。前の持ち主は使ったことあったのかしら??と思うほど、綺麗な状態でまさに「掘り出し物」な一本!
お祝いの食事会や、ミュージカルの観劇などによく締めています。
博多織の単袋帯
博多織のメーカー、にしむらの袋帯です。
「良いことが重なりますように」と二重太鼓に絞められる袋帯は、お祝いのお席で大活躍♪ですが、通常の袋帯は生地が暑く、帯芯も入って重い!!
この博多織なら、帯芯も裏地も付けなくても締めやすい。夏場のお祝いでも使える、軽い袋帯が欲しいと2019年年末に仕立てた一本です。
シンプルな幾何模様なので、花柄いっぱいの着物にも合うし、帯留も映えてとっても便利です^^ 余った布でバッグと草履も作ったので三点セットなのも自慢です♪
この袋帯のお仕立てについては、↓のブログに詳しくまとめてありますので、よかったらご覧ください。
科布の名古屋帯
今回展示している帯の中で、唯一、絹ではない帯です。
日本全国、街路樹にも植えられる科の木の、内皮を糸にして織り上げたもの。一切の染織をせず、木の色そのままです。ほんのり木の香りがするので、ぜひ触れて、香りも感じてみてください^^
戦前までは日本全国で作られていましたが、今は新潟と山形の県境、奥羽地方でのみ生産が続けられています。
お迎えして4年目になりますが、まだまだハリがありとっても元気!シルバーのクリップで留めて、押さえています苦笑
この帯については、私の本『教養としての着物』の第5章でも詳しく取り上げています。また、↓のリンクからこの帯について書いたエッセイもあるのでよかったらご覧ください。
菱屋善兵衛のクローバー帯
京都・西陣で200年の歴史を持つ老舗の織屋 菱屋善兵衛さんのクローバー柄の名古屋帯。
袋帯ばかりつくっていた老舗織屋さんが、名古屋帯もつくり始めたシリーズの一本です。
ぜひ、ぺらりとめくって裏地をみてください。裏地に菱屋善兵衛の「善」の地紋が入っていてさすが老舗!
色鮮やかで美しいクローバーは、光沢のある細い絹糸を使っているからこそ。
蝶やお花の帯留を合わせるのも楽しいです^^
サファリの染め名古屋帯
浅草の着物店 はんなりさんの染め名古屋帯の一本。
初めて行ったアフリカ、ケニアで、夕方ナイロビでバスから見えたオレンジの大きな夕日、マサイマラ国立公園で遠くに見えた象やバオバブの木。
ケニアで見た景色をそのまま思い出すデザインで、一目惚れしました。特注ではなく、これで売っていたんですよ♪
前柄は象を飾っていますが、反対側にはフラミンゴが描かれていて、1本で2柄楽しめる帯です。
手書きではなく、型紙の友禅染。色違いは出ているそうですが、この色では世界に一本だけ。出会いに感謝です^^
アフリカに関わるイベントに行くときや、アフリカにご縁がある方とお会いするときには、必ず締めている帯です。
イスラム調のキラキラ袋帯
お店の奥でひときわ輝いている袋帯。
イスラム建築を思い浮かべる、おしゃれなデザイン。ほんとタペストリーのようです。
帯として締めるとさらに豪華さを増すコなので、色無地に合わせて、このコを主役にするコーディネートをよくしています。
とても高価そうですが… もちろん、もともと高価だと思うのですが、、、実はこのコは先述の赤バラの帯とともに、世田谷ぼろ市で購入したもの。
この帯は5000円でした…爆
ほんっと素敵な帯や着物が、リサイクルでもたくさん出ているの!!みなさま、着物をたくさん着ましょう!!
世田谷ぼろ市でのお話は▼こちらのブログをどうぞ!
永治屋清左衛門 レース柄の名古屋帯
京都の丹後地方の糸問屋から始まり、安土桃山時代に全盛した唐織の復刻をしてきた永治屋清左衛門ブランドの名古屋帯。
浅草に直営店 きもの織伝さんを出店されたことでご縁をいただき、唐織の技術でできあがったこのコをお迎えしました。
刺繍のような立体感を織り出すのが、唐織の技術。
繊細なレースを置いたような、複雑な花紋様がとにかく美しい。ベースも黒に見えて白の糸を複雑に合わせているので、重くならずいろいろな着物に使いやすい帯です^^
今回は以上、11本の帯を展示させていただきました^^ 母や祖母の帯も並べたかったのですが、全体の配色も考えてこの並び方になりました。
また、入り口側のトルソー(かさねちゃんと言います^^)が着ているのは、私の叔母の59年前の振袖です。
地紋が美しく、花束の絵柄は全て刺繍で入っています。2022年に『教養としての着物』出版記念パーティで私が着用して以来のお披露目です。
振袖に合わせた帯は最近、友人のお義母様から「もう着ないので、どなたか着てくれる方に」とお預かりした袋帯。偶然にも、私の叔母と友人のお義母様は同い年!ということは、どちらも二十歳の頃に着た振袖と帯なので、時代が一緒!
ということで、合わせてみたらとってもぴったりなコーディネートになりました^^ 見事な飾り結びは、着付け師で和創塾卒業生 石川ますみさんにお願いしました。ますみさん、ありがとうございます!
着物は絵画をまとう衣装。
皆さまに新たなインスピレーションが舞い降りるひとときとなりますよう。
和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰
上杉惠理子
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