きものができるまで

木綿は本当にカジュアル着?綿薩摩から見える世界

こんにちは。上杉惠理子です。

2021年8月11日。お茶のお稽古で、朝から銀座に行ってきました。

暑すぎて…目が開かない笑

お稽古の後に、いつもお世話になっている銀座もとじさんへ。

お稽古後の水曜日のお昼は、比較的お店が空いているお時間のようで、いつもゆっくりお話が聞けて嬉しいのです♪

ちょうど今月末 8/27〜29で綿薩摩展を開催されるそうで、綿薩摩のお話をじっくり聞いてきました。

銀座もとじ
綿薩摩展〜極上の肌触りと出会う〜

https://www.motoji.co.jp/blogs/events/mensatsuma202108
2021年8月27日〜29日開催

ここ数年カジュアルなきものとして、木綿きものの人気が出ています。お仕立てをしても3万円代から買えて、雨に濡れてもTシャツのように自宅で洗えるし、カラフルな色も増えて選ぶのも楽しい。

カジュアルな木綿きものといえば、宮崎の染織こだまさん♪ 春の木綿展に行ったレポがこちら

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綿薩摩も木綿のきものです。

ですが、カジュアルな木綿きものとは別格。お値段にして30〜60万円と本当に桁が変わります。

私は正直これまで、綿薩摩は聞いていたけれど、そんな興味がなかったのです。

「…木綿なんだもの、そんな高級品でなくていいじゃないか」

と思っていたのです。

それがこの日もとじさんのスタッフ 橋本さんが丁寧に語ってくれまして。綿薩摩のすごさがわかってきました。

「綿薩摩ってヤバい…」と私が実感した最初のポイントは…

糸の細さ。

木綿糸の細さは、「番手(ばんて)」という単位で表します。

重さ1ポンド(453g)で840ヤード(768m)の長さが1番手。

重さ1ポンド(453g)で2倍の1680ヤードの長さが2番手。

番手の数が大きくなるほど、糸は細くなっていきます。

洋服のTシャツで使われる木綿糸は15〜30番手のものが主流のよう。

カジュアルな木綿きものも、だいたい20番手前後の木綿糸を使います。

昨年2020年に、私が自分で仕立てた片貝木綿は10番手、20番手、30番手の糸を組み合わせることで、立体的な生地になっています。

ところが、綿薩摩で使っている木綿糸は、なんと!!

60番手と80番手…!!

計算すると、80番手は重さ1ポンド(453g)で61440mの長さ…。。

想像つかないけれど、数字にしてみたときに、私は細さを実感できました。

確かに生地を触らせていただくと薄い。

綿薩摩は「綿のダイヤモンド」とも表現されます。この細いほそーい木綿糸を使うことで、木綿なのにとにかく軽く、光沢感も感じる。そして、木綿ならではの手触りやあたたかさが出るのが綿薩摩の一番の良さなのだそうです。

綿薩摩の歴史は実はそんなに長くありません。

実は戦後生まれ。

奄美大島出身の永江明夫さんという方が、綿薩摩の産みの親でした。

永江さんは太平洋戦争で出征し、終戦後シベリア抑留を経験し帰国された方。帰国したとき故郷の奄美大島は米国占領下で帰れず、宮崎の東郷織物さんという会社さんに入社。ここで独自の織物づくりを追求し始めます。

永江さんの目に留まったのが、当時まだ日本国内でも生産されていた木綿。身近で手触りがよく皆に愛されている木綿ですが、余った木綿糸が廃棄されたり、大切にされているとは言い難かった。

「木綿をもっと大切に使ってもらうにはどうしたらいいんだろう?」

と考えたのが、永江さんの綿薩摩のはじまり。

それから永江さんは細く良質な木綿糸を使い、故郷の大島紬の技術で柄を入れることに挑戦します。

絹糸を使う大島紬の技術を木綿で行うにはとてもとても大変だったそうですが、15年の研究を経て綿薩摩が誕生し商品化されるのです。

「木綿は、カジュアル着」

「木綿は、安くて気軽なもの」

そう私が思っていたことも、人間側の勝手な思い込みなのだ、と思いました。

木綿を育てるのってものすごく水を使うんですよね。

1枚のTシャツが出来上がるまでには、2,720リットルもの水が使われていると言われます。

店頭のTシャツの価格は安く見えるけれど、実はその裏で、労働コストを低く抑えていたり、環境コストがものすごくかかっている。

「一生、大切に使ってもらえる木綿のきものをつくりたい」という永江さんの言葉に、大切なことに気づかせていただきました。

現在、綿薩摩を作っているのは、永江さんがいらした東郷織物さん一社のみ。生産数がとても少ないため、今回もとじさんの展示会で、綿薩摩が20本も集まることがもう貴重なのだそうです。

もとじさんの泉二社長も綿薩摩の大ファンだそうで、21日20時からインスタライブで社長さんが綿薩摩を語ってくれるそうです^^ これは私も楽しみ♪

銀座もとじ
綿薩摩展〜極上の肌触りと出会う〜
https://www.motoji.co.jp/blogs/events/mensatsuma202108
2021年8月27日〜29日開催

気になった方はぜひインスタライブ、そしてぜひ店頭で見て触れていただきたいなと思います^^

ほんっと、、きものって、いろんなものがあって、いろんな人がいて、いろんなストーリーがある。きものから見える世界は、やっぱりおもしろい!!

こういうお話が好きな方は、和創塾がおすすめです❤︎

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それではまた!

和創塾〜きもので魅せる もうひとりの自分〜
主宰 上杉惠理子


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